美しい「エメラルドグリーン氷山」の謎、ついに解明されたかも

geoscience 2019/03/08
Credit: Kipfstuhl et al., Journal of Geophysical Research: Oceans, 1992
Point
■氷山には、全体が奇麗なエメラルドグリーンのものがあることが昔から知られていたが、原因はわかっていなかった
■南極大陸の岩石には鉄が多く含まれていて、氷河によって削り取られたものが海に流れ棚氷の下の海氷に色を付けている可能性
■緑の氷山に含まれる酸化鉄が、海洋生物たちの貴重な栄養源になっている可能性

氷山の色は白や青が一般的です。しかし氷山の中にはとてもレアな、宝石のように輝くエメラルドグリーンの氷山があります。

この奇妙な緑の氷山「翡翠氷山」は、1900年代から、灰色の南極風景に浮かんでいるのを船乗りや探検家によって時々目撃されています。

しかし、なぜ氷山がエメラルドグリーンに染まるのかはわかっておらず、何十年にも渡って科学者たちを悩ませ続けていました。

しかし今回、この現象について納得の行く説明がついに得られたかもしれません。氷山学者らによると、これらの氷山が緑色をしているのは、南極本土から運ばれた酸化鉄を含んでいるからであるからだと説明。この説が正しいとすれば翡翠氷山は、ほぼすべての海洋生物を支える重要な栄養素を運ぶウェイターの役割をしていることになります。

論文は「Journal of Geophysical Research: Oceans」に掲載されています。

海水の動植物由来?→違うらしい

Credit: maxpixel

氷山学者ステファン・ウォーレン氏が驚いたのは、この氷の色よりもその密度です。通常の氷山は積もった雪が詰め込まれて出来ているため空気を含みますが、緑の氷山には空気でできた空洞が見られませんでした。

翡翠氷山が発見された1980年代当時に採取された翡翠氷山のサンプルを解析したところ、この氷山は他の氷山のように氷河から分離してできたものではなく、分南極の棚氷の底に張り付いた海氷で形成されたものであることが分かりました。

そこで最初に挙げられた説は、この緑色は海中の植物や動物由来であり、死んで長い時間海水に浮遊する残骸によるというものです。有機物質は色としては黄色になるはずで、青い氷山に捕らえられることで緑に変化する可能性があります。

しかし、氷山中の有機物質を調べた所、緑の氷と青い氷の間に違いはほとんどありませんでした。では、違いを生み出しているのは何なのでしょうか?

犯人は酸化鉄か

Credit: marsemfim

ウォーレン氏は、結局この問題に数十年悩まされまれることになります。2,3年前、ついに大きな手がかりを得ました。2016年にコペンハーゲン大学の海洋学者たちが、1968年に取られたアメリー棚氷の氷床コアを調べました。そして、最下層部に、氷河に含まれる500倍もの鉄を含む海氷を見つけたのです。

酸化鉄は、錆あるいは土のような色を付ける傾向があり、南極本土の岩石に存在します。実際、岩盤の上を氷河が流れる時、鉄を含む岩を削って細かい粉にすることがよくあり、それらは海へと流れ出ます。

ウォーレン氏らは現在、酸化鉄のくずが棚氷の下にたまり、海氷へと取り込まれたという線で考えているとのこと。そこで、「美しいエメラルド色の原因は酸化鉄である」という仮説を立て、その検証に氷山のコアに一連のテストを行うことを論文で提唱しています。

 

光合成細菌が利用する栄養素として、鉄は重要なのですが、海の大部分では不足しています。緑の氷山が流れていった先で、貴重な栄養源になっている可能性もあるでしょう。エメラルドグリーンの氷山はその色だけでなく、栄養源としても貴重なのです。

あんこの色はアントシアニンではなく「未知の色素」でつくられていた

reference: Science Alert / written by SENPAI

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