なんと太陽の1.5兆倍!「天の川銀河」の総重量の正確な計測に初成功

space 2019/03/09
Credit: NASA, ESA and A. Feild (STScI)
Point
■NASAとESAの宇宙望遠鏡を使った計測により、「天の川銀河」の質量は、1.5兆太陽質量であることが判明
■従来の「暗黒物質」の重さを測定する方法ではなく、銀河系の周囲を回る「球状星団」の速度や動きを観測した
■結果、総質量の内、4000億個の星の総重量は全体の数%で、残りの9割は「暗黒物質」だった

さすがのイナバ物置も音を上げそう。

「天の川銀河」の正確な重さが判明したのですが、とんでもない数字が叩き出されました。

NASAの「ハッブル宇宙望遠鏡」とESA(欧州宇宙機関)の「ガイア宇宙望遠鏡」から得られたデータにもとづき、銀河系の総重量を測定した結果、実に1.5兆M(=太陽質量)もあることが判明したのです。

「天の川銀河」は太陽1.5兆個に相当する

「天の川銀河」の質量については、これまでも天文学者たちによって幾度となく計測が試みられてきましたが、その数値には、およそ5000億〜3兆Mというように大きなバラつきが見られました。

それは従来の基本的な計測方法が、銀河系の90%を占める「暗黒物質」の分布測定によるものだったからです。

今回の計測に参加したヨーロッパ南天天文台のローラ・ワトキンス氏によると、暗黒物質は質量を持つものの、直接観測することのできない不可視物質であるため、精密な計測は不可能だったのです。

Credit: ESA/HUBBLE, NASA, L. CALÇADA

しかし、NASAとESAが共同で割り出した1.5兆Mという数字は、今までで最も正確な値であるとのこと。M(太陽質量)とは、その名の通り、太陽1個分の重さを表す天文単位で、その質量は、およそ1.9884×10の30乗kgになります。

天の川銀河は、その1.5兆倍ということですから…想像もつかない重さです。こうした正確な測定は、研究チームが暗黒物質ではなく、「球状星団」に着目したことで可能になりました。

「暗黒物質」でなく「球状星団」を追え!

「球状星団」は、天の川銀河が形成されるはるか以前から存在する古い天体で、数十万個の恒星が自己重力によって密接に集合して、銀河系の螺旋円盤の周りを軌道運動しています。

この「球状星団」の質量や速度、動きを宇宙望遠鏡で観測することで、天の川銀河の質量を割り出すことに成功しました。要するに、研究チームが採った手法は、月の質量を地球の質量や重力、地球を回る周期から求めた方法と同じなのです。

Credit: Visualhunt

チームはまず、ESAのガイア望遠鏡を使って、地球からおよそ6万5000光年離れている球状星団34例の速度と動きを観測しました。これまで確認されていた星団の動きは、地球に向かって近づいたり、遠のいたりする正面視点からの動きのみです。

ところが、新たに横向きに移動する星団の動きや速度を測定することで、重力の加速度を算出し、結果、星団の質量を知ることに成功したのです。

これに加えて、NASAのハッブル宇宙望遠鏡が、地球からおよそ13万光年離れた星団12例の動きを追跡観測。ガイア同様に、速度や重力、質量を割り出して、天の川銀河の総質量の精度を高めました。

その結果として、太陽の1.5兆倍という値が算出できたのですが、銀河系におよそ4000億個あると言われている星の総重量は、全体のわずか数%とのこと。残りの9割は、暗黒物質が占めていました。

しかしこれだけ星の数がありながら、生命の存在できる星が地球だけというのも考えづらいところ。私たち人間以外にも、同じ天の川銀河をホームグラウンドとする知的生命体が存在してもおかしくありませんよね。

自転軸の傾きがスゴイ太陽系外惑星の謎が解明される 

reference: eurekalert / written & text by くらのすけ

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