ロボットを介しての余命宣告はアリなのか?カリフォルニアの病院に非難の声

society 2019/03/11
Credit: CNN

愛する人の死――私たちの人生の中で最もつらい出来事の1つです。

しかしそれは、患者の死期を本人や家族に説明しなければならない医師としても、それがつらい仕事であることに変わりはありません。しかし、だからといってその仕事を「ロボット越し」におこなうというのはアリなのでしょうか?

「ロボット越し」の宣告。患者の感情は…

アメリカに住むアナリシア・ウィルハムさんは、まさか自分の祖父の余命宣告をロボットに映されたスクリーン越しに聞かされるとは、思ってもみませんでした。

ウィルハムさんは先週月曜日の夜、カリフォルニア州フリーモントにあるカイザーパマネンテ・メディカルセンターの集中治療室のベッドに横たわる祖父の隣に座っていました。

すると1台のマシンが病室へと近づいてきて、ビデオリンクによって画面に映された医師が、祖父に対して厳しい宣告を下したのです。そして彼女の祖父であるアーネスト・キンタナさんは、その翌日、78年の生涯に幕を閉じました。

ウィルハムさんは、「病院は祖父の尊厳を大事にして、より良い方法で祖父を扱うべきだったと思います」と語り、病院の対応について批判しています。家族はキンタナさんの先が長くないことは理解していましたが、それが伝えられた方法について怒っているのです。

これに対して病院の広報担当は、「ご家族に心からのお悔やみを申し上げます」としながら、次のように述べています。「医者と看護師は、キンタナさんが病院に来られたときから定期的に、本人と家族に対する面と向かったコミュニケーションをおこなっています」「その午後のビデオでの会話は、前の巡回のフォローアップとして使用しました。そのため、診断結果について知らせたものではありません」

医師は誰?どこにいるの?…家族を不安にさせる医師の不在感

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長きにわたり、キンタナさんは呼吸が苦しくなる病気である慢性閉塞性肺疾患に苦しんでいました。そこには、肺気腫や慢性気管支炎といった症状も含まれています。先週の月曜日、病院ではキンタナさんの症状を確認するためのテストが実施されました。

そしてその夜、「ロボット越し」の宣告がおこなわれたわけですが、ウィルハムさんは、医師が誰で、どこにいるのかもさっぱり分からなかったといいます。

彼女は、医師がテストの結果を祖父に伝える一連のやり取りをスマートフォンで撮影していました。その映像の中で、スクリーンの中の医師はキンタナさんに告げます。「残念ながら、効果的な治療法が見つかりません」

医者はそこで、楽になるためにモルヒネを投与することが可能であること、また、それによりさらに呼吸が苦しくなる可能性もあることを説明しています。

そこでウィルハムさんは祖父に対して、医師が自宅でのホスピスケアを勧めているのだと告げましたが、医師は、「その…キンタナさんが家に帰ることができるかどうかは分かりません」と語り、その時点でのベストな治療が、キンタナさんを楽にしてあげることだと付け加えました。

病院側は「ロボット」とは違うと主張するけれど…

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キンタナさんの妻が、看護師に対してロボットに関する説明を求めたところ、病院は小さく、ロボットは夜の巡回のために使用されていたとの回答がありました。

病院の広報であるガスキル・ハメス氏は、「医療従事者は絶えず患者との交流をより良いものにするために、テクノロジーの導入について学んでいる」と語ります。

また彼女は、「治療のあらゆる場面において、特に苦しい情報を伝えなければならないときには、思いやりとマナーを大事にして対応しています」と述べており、ここで「ロボット」という単語が使われているのは不正確で不適切だと主張しています。

さらに彼女は、「このシステムにより、小さな病院でも正式な免許を持った集中治療がおこなえる医者といった、今まで病院にいなかったスペシャリストを24時間体制で運用できます」と語りながらも、キンタナさんの家族に対して、「このシステムが完璧ではないことも分かっています。そして今回、ご家族への対応が不十分であったことを遺憾に思っています」と述べています。

一方のウィルハムさんは、祖父が亡くなった日を「人生最悪の日」のうちの1日に数えているとのことです。

遺族の気持ちと病院側の対応。私たちが家族の死に向き合うとき、私たちに何ができるのか、病院に何を求めるのか、考えさせられる出来事です。

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reference: cnn / written by なかしー

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