最大級の太陽嵐が紀元前660年に地球を襲っていた

space 2019/03/13
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Point
■太陽嵐は、太陽磁場の変化によって加速した荷電粒子や電磁波が爆発的に放射される現象で、電子機器に影響する
■紀元前660年を示す樹木の年輪に放射性同位体の炭素14の急激な増加が見られた
■新たにグリーンランドのアイスコアでも紀元前660年に放射性同位体の急増が見られ、大規模な太陽嵐があったことが明らかに

紀元前660年に最大規模の太陽嵐が吹き荒れ、地球を襲っていたとの研究報告が。

研究者たちは木の年輪とアイスコアに刻まれた証拠を元に、「PNAS」誌に研究論文を発表しました。

Multiradionuclide evidence for an extreme solar proton event around 2,610 B.P. (∼660 BC)
https://www.pnas.org/content/early/2019/03/05/1815725116

太陽の磁場が変化すると、ときに荷電した粒子を宇宙へと放出することがあります。劇的な太陽嵐の中には、プロトン現象と呼ばれるフレアコロナ質量放出といった太陽放射現象との相互作用で、荷電粒子の速度が凄まじくなったものがあります。

地球を守っている磁場をもってしても、この超速度でエネルギーの高い粒子の嵐を妨げることはできません。この放射は特に、現代技術や宇宙飛行士に多大な影響を及ぼします。

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太陽嵐の頻度は未解明

こういった強烈なイベントが起こる頻度はまだ解明されていません。というのも、人工衛星や地上の観測機器を使って太陽嵐が観測されるようになってから、まだ70年しか経っていないからです。時間をさかのぼって調べるためには、宇宙由来の放射性同位体である炭素14を樹木の年輪に調べたり、アイスコア内部にベリリウム10や塩素36を探す方法が取られます。これらの放射性同位体は、地球大気中の分子と宇宙線が相互作用した時に発生します。

2017年に紀元前660年を示す樹木の年輪に炭素14の急激な増加が見つかり、プロトン現象である可能性が示唆されました。しかし、炭素14の急激な増加は超新星爆発や太陽フレアでも起こります。

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同規模の太陽嵐が現代で起こったら…

新たな研究では、当時スウェーデンのルンド大学に所属していた地質学者パスカル・オヘアによって、グリーンランドの2つのアイスコアが調べられています。オヘアと共同研究者は、アイスコアにベリリウム10と塩素36の放射性同位体の急激な増加を見つけました。

これら氷内部の放射性同位体の相対量は紀元前660年に起こったイベントが、観測史上最も強力な太陽嵐であった1859年のイベントの10倍の規模であったことを示していました。この太古の太陽嵐に匹敵するもので知られているものは、774年から775年に起こった太陽嵐で、同様に年輪とアイスコアによる記録から見つかっています。

 

太古に起こった太陽嵐は、当時は広い範囲でオーロラが見られるなどの影響はあった可能性がありますが、特に実害はなかったと思われます。しかし、同規模のプロトン現象が現代で起これば、影響は計り知れません。それほど現代文明は電子機器に頼っているのです。

謎だった地球の太陽風に対する「最初の防衛ライン」が明らかに

referenced: Science News / written by SENPAI

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