動物にも「おばあさん仮説」は当てはまるの?

animals_plants 2019/04/08
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Point
■閉経後も老女が長生きするのは、孫を育てることで生存率を上げるという進化的な利点があるからだとする「おばあさん仮説」がある
■動物では祖母と孫が一緒に暮らすこと自体まれだが、一緒の群れで暮らすものでは孫の世話をする祖母がいて、孫の生存率を上げるとする研究もある
■祖父については動物界では孫と一緒にいること自体がさらにまれであるため、孫の生存とは無関係である

自然界の「おばあさん」はどのように孫と接しているのでしょうか?

多くの人間社会では、祖父母は尊敬されています。でも、孫に昔の話を聞かせたり、過剰に食べものを与えたりするのは、人間の特徴のようです。このような典型的な老人の行動は、本当にホモ・サピエンスだけのものなのでしょうか?

地球上の多くの種にとって、その答えは間違いなくノーです。子供が生まれたときに祖父母がいる事自体が珍しいそうでです。祖父母と生存が重なったとしても、資源の奪い合いが起きないように散らばるのが普通で、祖父母と出会う確率は低いでしょう。

哺乳類のおばあさんたちの子育て参加

でも、例外もあります。親密な社会を作って暮らす哺乳類です。カナダの動物学者アン・イニス・ダグは、著書「The Social Behavior of Older Animals」の中で、インドに住む猿「ラングール」の群れでは、年老いた雌猿が娘や孫娘に混ざって生活していることを伝えています。

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祖母ラングールには特別な仕事があります。ヒトや犬、他の猿による攻撃からグループの赤ちゃんを守ることです。メスのラングールの中には、孫に対して特別な扱いをするものもいて、毛づくろいをしたり、他の子供との遊びが激しくなったときに中に割って入ったりします。

クジラたちの多くも、旅をする家族の群れの中に祖母と孫が一緒に行動します。マッコウクジラのグループでは、母クジラがエサを獲りに行っている間、年老いたメスがグループ内の若いクジラの子育てを手伝います。

シャチの祖母は群れを率いることがよくあって、閉経後も数十年生きることができます。最高齢のシャチとして知られているのは、2016年に100歳で亡くなった「グラニー」です。2015年の「Current Biology」の中で、厳しい時期に年寄りのシャチが子孫の手伝いをするのは、彼女たちが良い餌場をすべて覚えているからだと、科学者達は言います。

象の群れもまた、母権制で有名です。子象は通常、80歳近くまで生きるおばあさん象に率いられた群れの中で生まれます。群れの中のメス象同士は強いつながりを持っています。

トゥルク大学の生物学者ミルッカ・ラデンペラは2016年に「Scientific Report」に発表された研究で、象が祖母を持つことが進化的な有利になるのか調べました。ミャンマーの木材産業のために半飼育されているアジアゾウの記録を調べたのです。成熟したメスの中には、その母親と一緒に暮らしているものもいましたが、他の地方に移動させられたものもいました。

その結果、祖母の近くで育った子象のほうが、そうでないものよりも8倍生存確率が上がっていました。母象が年をとって子供の育成経験が増えると、祖母象がそばにいたとしても「おばあさん効果」による利点は小さくなりました。その理由をラデンペラ女史は、祖母象の長い経験が子育てに役に立つからではないかと考えています。

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こういった祖母による利点は哺乳類で多く見られるのですが、他の種族、例えばアブラムシやヨシキリでも見られます。

おじいさんの影響はあるのか?

では、祖父の影響というのはないのでしょうか?人間では、祖父母と暮らすことで精神的な健康が維持され、幸福の指標ともなっていることが示されています。でも、動物界ではそうではなさそうです。オスは子供と群れを作ることはまれなので、孫と一緒にいることはほとんどありません。オスの関心は子孫を生み出すことで、子どもを育てることにはないのです。

 

「おばあさん仮説」は祖母とともに群れを作る動物には当てはまるようです。一方おじいさんは動物界では子育ての役に立っていないようですが、人間界では孫たちにやすらぎを与えているみたいですね。子育てを手伝うような社会性が長生きとリンクしているとしたら、進化論的な長生きの秘訣は、おばあちゃんの「おせっかい」にあるのかも。

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referenced: Live Science / written by SENPAI

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