速すぎた!?銀河ディスクから飛び出した奇妙な「超高速星」とは

space 2019/03/16

Point
■天の川銀河の中には、他の恒星よりも速いスピードで進む「超高速星」が見つかっている
■超高速星LAMOST-HVS1の軌跡を逆にたどって起源を見た所、中央の超大質量ブラックホールではないことが判明
■この超高速星を加速した大質量天体があるはずで、それは見つかっていない中間質量ブラックホールかもしれない

超高速星の起源に、一石を投じる研究です。

天の川銀河の重力を振り切るほど、ものすごいスピードで宇宙空間を移動する「超高速星」。その起源には様々な説がありましたが、天の川銀河の中心にある超大質量ブラックホール以外にも、銀河の外へと恒星を弾き飛ばせる天体があることがわかりました。研究は「Astrophysical Journal」に掲載されています。

Origin of a Massive Hyper-runaway Subgiant Star LAMOST-HVS1: Implication from Gaia and Follow-up Spectroscopy
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/ab05c8

起源はブラックホールと思いきや…

天文学者は、大きな超高速星LAMOST-HVS1の軌跡を時間をさかのぼって追跡。するとこの天体を超高速で飛ばしたのが、それまで疑われていた銀河の中心の超大質量ブラックホールではないことが判明したのです。

超高速星が宇宙を進む速度は160万km/hで、通常の恒星の2倍以上のスピードです。このように高速で移動する恒星は稀で、2005年に最初に発見されてから現在までに30個に満たない数がカタログされたに過ぎません。

そのスピードに達するには、何らかの強力な重力による射出が行われているはずです。最も疑わしいのは、天の川銀河中央の太陽質量の400万倍ある射手座Aブラックホールです。

しかし、地球に最も近い超高速星であるLAMOST-HVS1を加速させたものの正体は、どうやら別のところにあるようです。

いったい何が加速させた?謎の超高速星

Credit: depositphotos

研究を率いたミシガン大学の服部公平博士らは、ガイア衛星とマゼラン望遠鏡による観測データからLAMOST-HVS1の軌道を追跡しました。

「この星は当初、銀河の中心からきたものと考えていました。しかしその軌跡を見ると、銀河の中心とは関係ないことは明らかでした。この星の起源については他の可能性を考える必要があります」と服部博士は述べています。

服部博士にも共同研究者たちにも、LAMOST-HVS1がどのように加速を得たのかわかっていません。しかし、2つの主な可能性を上げています。この星が複数の大質量星の重力に遭遇した可能性、あるいは、クラスター内の中間質量ブラックホールによってディスクから放り出された可能性です。

LAMOST-HVS1の軌跡から、その起源がじょうぎ腕と呼ばれる銀河の渦状腕にあることは確かです。しかしその場所には星のクラスターは見つかっていません。ですが、塵(ちり)に隠れて潜んでいる可能性はあります。

そのため、LAMOST-HVS1が加速したと考えられる場所は、中間質量ブラックホールを見つけるには絶好の場所かもしれません。中間質量ブラックホールは、恒星質量ブラックホールと超大質量ブラックホールの間を埋めるはずのブラックホールですが、見つけるのが極めて難しいため、今のところほとんど見つかっていないのです。

初期宇宙に超大質量ブラックホールが83個発見される

reference: Space.com / written by SENPAI

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