培養「ミニブレイン」が筋肉を動かした!そこに感情や意識はあるのか?

biology 2019/03/19
Credit: MRC Laboratory of Molecular Biology
Point
■新たな実験により、マウスから取り出された脊髄と筋肉がつながった「ミニブレイン」が培養された
■つながった筋肉は、ミニブレインからのコントロールを受けていることが確認された
■ とはいえその構造は原始的であり、ミニブレインが意識や感情を持ちうるまでには至っていない

脊髄と筋肉がつながった「ミニブレイン」が、科学者らによって研究室の中で培養されました。これにより運動ニューロン病などの症状に関する研究がより進展することが期待されます。

Cerebral organoids at the air–liquid interface generate diverse nerve tracts with functional output

https://www.nature.com/articles/s41593-019-0350-2

「ミニブレイン」が筋肉を動かした!

Credit: depositphotos

実験では、豆粒サイズの人間の脳細胞の塊が、マウスから取り出された脊髄や背中周りの筋肉とつながるために、自発的につる状の連結部分を伸ばしたのを確認。そして筋肉はその後明らかに、いわゆるブレイン・オルガノイドのコントロールを受けていることが分かりました。

このミニブレインは、新たな技術で人間の幹細胞から培養されたものです。これにより、試験管内でつくられた臓器であるオルガノイドが、以前の実験よりも新たなステージに達したといえるでしょう。ミニブレインは、ニューロンとその組織において多様性をみせており、それは妊娠12~16週の胎児の脳との類似点を示しているとのこと。

しかしながら、科学者たちはその構造は非常に小さく原始的なものであり、思考や感情、意識といったものを持ちうるまでには至っていないことを指摘しています。

ゴキブリとゼブラフィッシュの間?

完全に発達した人間の脳が800~900億のニューロンを持つのに対し、このオルガノイドは数百万のニューロンしか持っておらず、灰白質の量といった点でいえば、ゴキブリとゼブラフィッシュの間といったところです。

これまでオルガノイドの完成度は、その中心部への栄養素の供給が困難であったことから制限を受けていました。オルガノイドは一定のサイズに達すると、中心部のニューロンが栄養素の供給を絶って死滅しはじめ、その構造の発達がストップしてしまうのです。

最新の研究では、培養したオルガノイドを振動するブレードで0.5ミリメートルの薄さにカットして、栄養素が豊富な液体の上に浮かぶ被膜の上に乗せました。こうすることで、すべてのスライスがエネルギーと酸素へのアクセスを持つようになり、オルガノイドは発達を続け、新たなつながりを持つことができるようになります。

スイス、バーゼルの「the Institute of Molecular and Clinical Ophthalmology」の遺伝学者であるグレイ・キャンプ氏は、今回の研究について「この分野での大きな前進である」と評しています。

実験室で培養された「ミニブレイン」から初めて人間のような「脳波」が確認される

reference: theguardian / written by なかしー

SHARE

TAG

biologyの関連記事

RELATED ARTICLE