「地磁気」を感知する機能は人間の脳にも存在した

brain 2019/03/19
credit:MaxPixel
Point
■渡り鳥などの動物は地磁気を感じる能力を持つことが知られているが、人間が持つという実験結果は今までなかった
■光などを遮断した部屋の内部に被験者をおき磁場を変化させて脳波を見る実験で、磁場の動きに反応する脳波が計測される
■脳波は変化しているが被験者の意識には登っていない

ある種の鳥や亀を含む多くの動物は、地磁気を感知することで、方角を知ることができます。しかし、ヒトには地磁気を感知する能力はないように思えます。

しかし新たに「eNeuro」で発表された実験結果によると、それは違うようです。

Transduction of the Geomagnetic Field as Evidenced from Alpha-band Activity in the Human Brain
http://www.eneuro.org/content/early/2019/03/18/ENEURO.0483-18.2019

今回の研究で、人間における磁場の変化への明瞭な反応が初めて観察されました。それでは人間も、鳥のように地磁気で方角がわかるのでしょうか?

今回の実験では、被験者は意識的には磁場に気づいていなかったようです。しかし脳は違いました。地磁気に反応を示したのです。

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脳は磁場に反応する

研究者は隔離された部屋の中に人工的に移動する磁場を作り、被験者の脳波にどのような影響が出るかを調べました。部屋では磁場の向きが変わっても電流の向きやノイズなどに変化が起きないように完全にコントロールされています。すると磁場の回転方向によって、参加者の脳波の電気的活性に変化がみられました。

ただしこの研究で注意が必要なのは、磁場の変化による刺激への脳の反応に、参加者たちは「意識的」には全く気づいていないということです。よって、この発見が行動学的あるいは生理学的に意味があるのかは、科学者たちにもわかっていないのです。

先祖から引き継いだ未発達の能力?

脳スキャンを実施した科学者たちは、人が磁覚能力を持つのは遺伝的祖先から引き継いだある種の未発達な能力なのではと疑っています。この研究では、それがどのように機能しているかはわかっていませんが、研究を行ったカリフォルニア工科大学の地球物理学者ジョセフ・キルシュヴィンクは、脳細胞の中には小さな磁性結晶が含まれるものもあるかもしれないと考えています。

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「磁覚は動物で普通に見られる感覚系であり、視覚や聴覚、触覚、味覚、嗅覚、重力、温度、などと同等の感覚です。こういった感覚系は、光子や音波などを検出する特別な細胞を持っており、感覚細胞から脳へと信号を送っています。

それはまるで、マイクやビデオカメラがコンピュータにつながっているようなものです。コンピュータにソフトウェアが存在しない場合、マイクやビデオカメラは機能しません。つまり、人の神経生理機能は磁鉄鉱を元にした磁力計をもって進化しており、脳はその信号を処理する包括的なソフトウェアを持っているのです」

人間には、意識的には全く感じないのですが地磁気を感じて、脳で処理する能力があるようです。妙に方向感覚に優れている人はもしかしたら、この能力を無意識に使っているのかもしれませんね。

「腸」が古代人のGPSとして働いていたという研究

reference: Futurism / written by SENPAI

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