PTSD症状に効果 「心地よい香り」で悪夢を見なくなるという研究

life 2019/03/25
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Point
■「PTSD」患者は過去のトラウマが蘇ったり強迫的な夢を見るなど何らかの睡眠障害に悩まされやすい
■「心地の良い香り」を嗅ぎながら寝ると睡眠の質が向上し、ネガティブな夢も見なくなる可能性が高くなる
■これは人体の嗅覚システムが、感情プロセスを司る「扁桃体」や「海馬」と直接的な繋がりを持っているため

睡眠の質の改善には「心地よい香り」が効果的であると判明しました。

「PTSD(=心的外傷後ストレス障害)」患者を悩ませる症状として、睡眠障害が挙げられます。特に、過去のトラウマ経験が蘇り、強迫的な悪夢を体験することがとても多いのです。

こうした問題から現在ではPTSDの睡眠問題に焦点を当てた治療が進んでいます。その1つが匂いを使った外部感覚による療法です。ドレスデン大学病院の研究によると、自分が心地よいと感じる匂いを嗅ぎながら寝ると、睡眠の質が向上することが分かったのです。

研究の詳細は1月25日付けで「Journal of traumatic stress」に掲載されています。

Nocturnal Olfactory Stimulation for Improvement of Sleep Quality in Patients With Posttraumatic Stress Disorder: A Randomized Exploratory Intervention Trial
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/jts.22359

「感情プロセス」と結びつく嗅覚システム

これまでの研究でも、アロマセラピーが抗不安剤として有用であることや、ラベンダーの香りが睡眠の質を高め、寝起きの活力を増進することがわかっていました。

さらに「心地よい香り」は、睡眠時に見る夢の内容にも影響を与えているのです。例えばバラの香りを嗅いで寝る時はポジティブな夢が見られ、反対に腐った卵のような臭いを嗅ぎながら寝ると、ネガティブな悪夢を見るという実験結果もあります。

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このように「匂い」は、音や視覚といった他の感覚刺激と比較しても、感情の変化に大きな効果を持っているのです。というのも、人体の嗅覚システム自体が感情プロセスと強く結びついており、進化学的に感情の働きを司る脳領域は嗅覚システムから派生したものと考えられているのです。

現在でもなお嗅覚システムは、感情プロセスに直接関わる「扁桃体」および「海馬」とリンクしています。以上のことから「心地よい香り」は、PTSD患者における睡眠の質の向上に大きく寄与することが予測されているのです。

「プラシーボ」より効果的な「心地よい香り」

ドレスデン大学病院の研究チームは、同病院に入院している40名のPTSD患者を対象に調査を敢行。被験者には、まず5日間にわたって睡眠活動を測定してもらいました。

手首につけたセンサーで「眠りに落ちるまでの時間」や「睡眠の総時間」「眠りに落ちてから起きた回数」といった客観的な数値、そして毎朝のアンケートによる「寝心地」「起床後の回復度」「夢の質」といった主観的な評価付けの両方を行なっています。これによってPTSD患者の平均的な睡眠活動の基準線を割り出します。

次に40名の被験者には「プラシーボ治療」と「心地よい香り治療」の2グループに別れてもらい、再び5日間の観察を行いました。このとき、両グループともに鼻部分にある装置を付けてもらい「プラシーボ組」には普通の空気が、「香り組」には被験者が選択した良い香りが漂う仕組みにしました。

香りの選択肢は、バラ・ラベンダー・オレンジ・ピーチで、被験者の43.8%はオレンジを選び、次いで、ピーチ(31.2%)、バラ(18.7%)、ラベンダー(6.3%)でした。

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すると「香り」グループには、睡眠時に見る夢の強迫性スコアが下がっており、反対に「プラシーボ」グループは、最初5日間に測定された基準線より悪化していることが判明しました。

そして香り治療には逆効果になるネガティブな反応は何も見られず、睡眠の質を安全に高めることが明らかになったのです。

 

PTSD患者は、柑橘類や果物の香りを好んで選んでいたそうなので、寝つきの悪い夜は爽やかでフルーティーなアロマオイルやお香を焚いてみると良いかもしれませんね。

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reference: psychologytoday / written & text by くらのすけ

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