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PTSD症状に効果 「心地よい香り」で悪夢を見なくなるという研究

2021.01.27 Wednesday

2019.03.25 Monday

credit:pixabay
Point
■「PTSD」患者は過去のトラウマが蘇ったり強迫的な夢を見るなど何らかの睡眠障害に悩まされやすい
■「心地の良い香り」を嗅ぎながら寝ると睡眠の質が向上し、ネガティブな夢も見なくなる可能性が高くなる
■これは人体の嗅覚システムが、感情プロセスを司る「扁桃体」や「海馬」と直接的な繋がりを持っているため

睡眠の質の改善には「心地よい香り」が効果的であると判明しました。

「PTSD(=心的外傷後ストレス障害)」患者を悩ませる症状として、睡眠障害が挙げられます。特に、過去のトラウマ経験が蘇り、強迫的な悪夢を体験することがとても多いのです。

こうした問題から現在ではPTSDの睡眠問題に焦点を当てた治療が進んでいます。その1つが匂いを使った外部感覚による療法です。ドレスデン大学病院の研究によると、自分が心地よいと感じる匂いを嗅ぎながら寝ると、睡眠の質が向上することが分かったのです。

研究の詳細は1月25日付けで「Journal of traumatic stress」に掲載されています。

Nocturnal Olfactory Stimulation for Improvement of Sleep Quality in Patients With Posttraumatic Stress Disorder: A Randomized Exploratory Intervention Trial
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/jts.22359

「感情プロセス」と結びつく嗅覚システム

これまでの研究でも、アロマセラピーが抗不安剤として有用であることや、ラベンダーの香りが睡眠の質を高め、寝起きの活力を増進することがわかっていました。

さらに「心地よい香り」は、睡眠時に見る夢の内容にも影響を与えているのです。例えばバラの香りを嗅いで寝る時はポジティブな夢が見られ、反対に腐った卵のような臭いを嗅ぎながら寝ると、ネガティブな悪夢を見るという実験結果もあります。

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このように「匂い」は、音や視覚といった他の感覚刺激と比較しても、感情の変化に大きな効果を持っているのです。というのも、人体の嗅覚システム自体が感情プロセスと強く結びついており、進化学的に感情の働きを司る脳領域は嗅覚システムから派生したものと考えられているのです。

現在でもなお嗅覚システムは、感情プロセスに直接関わる「扁桃体」および「海馬」とリンクしています。以上のことから「心地よい香り」は、PTSD患者における睡眠の質の向上に大きく寄与することが予測されているのです。

次ページ「プラシーボ」より効果的な「心地よい香り」

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