綿棒による耳かきしすぎで起こった恐ろしい症例

life 2019/04/01
Credit: depositphotos
Point
■救急車で緊急搬送された患者は神経症状を引き起こしており、同時に長い間耳の痛みと聴力障害があった
■CTの結果、緑膿菌による壊死性外耳道炎であることが判明した
■感染の温床となったのが外耳道に残った綿棒の破片で何年もの間、耳の中に残留していた

まだ、綿棒で耳かきしているの?

やめる理由にもってこいの、深刻で生命の危機さえあり得た感染症の症例が示されています。身近なだけに、怖すぎます。

「BMJ Case Reports」に掲載された最新の症例報告では、31歳の健康な男性が卒倒した後に病院の救急医療室へと救急車で運ばれた症例を紹介しています。

Cotton bud in external ear canal causing necrotising otitis externa and subdural abscess
https://casereports.bmj.com/content/12/3/e227971

脳に膿のたまった腫瘍が…

病院に到着後、患者は発作をおこし、混乱、眠気、意識の変容を起こしました。その後、数日間に渡って頭痛や吐き気を訴えていたそうですが、なんとその間は自分の名前を思い出すことも満足にできなかったとか。

さらに、実は5年間に渡って、左耳の聴力を失くしていたというのです。なぜもっと早く病院に行かなかったのか。

男性の頭部のCTスキャンを撮ると、脳周辺の組織に膿の溜まった膿瘍が見つかり、彼の耳から採取された分泌物が感染の原因であることがわかりました。危険な感染菌である緑膿菌です。

今回の症例では、緑膿菌が彼の症状である、壊死性外耳道炎(NOEあるいは悪性外耳道炎)の原因であり、外耳道の組織に感染したと医療団は考えています。

しかし、どうやってこの細菌は男性の頭の内部に入ったのでしょうか?

犯人は脳に入り込んだ綿棒の断片

Credit: Charlton et al, BMJ Case Reports, 2019

男性の外耳道の診察が、最もふさわしい答えのヒントになっています。綿棒の断片が男性の頭部に残っていたのです。それがどれくらいの期間そこにあったかはわかりませんが、彼の耳の痛みと聴覚の喪失のうったえから考えるとおそらく何年もあったものと考えられます。

しかし幸運なことに、綿棒を取り除き、抗生剤を8週間に渡って投与して感染症への治療をした結果、重篤な神経症状は治まったとのこと。

抗生剤投与が完了した段階で、全身的には健康で、神経症状や耳部での残余症状もなくなりました。彼はその後、もちろん綿棒による耳かきを辞めたそうです。

ふつうに使っているだけでは、中々このような重篤な事態にはならないでしょう。しかし綿棒を耳の奥まで入れ込むなどして使いすぎると、このような事態にもなり得ます。たとえ耳の掃除をするためであっても、異物を耳に入れるべきでないのです。

耳に綿棒を使うことは、一般に行われていますが、これまで、外傷や鼓膜穿孔、耳垢塞栓、感染症、綿棒残留などを含む合併症の原因となることがわかっています。今回の症例は、綿棒使用の危険性を再確認したものであり、外耳道に異物を認めたときに取り除くことの大切さを伝えています。

 

耳掃除に使いやすい綿棒ですが、このような恐ろしい症例を見ると使わないほうが良さそうです。そもそも外耳には自浄能力があって、耳垢は何もしなくても外へと排出されるようになっています。綿棒はその耳垢を中に押し込んでしまう危険もあるのです。確かに気持ち良いですが、控えたほうが良さそうですね。

脳は私たちが意識する「11秒」も前に決定を下している

reference: Science Alert / written by SENPAI

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