“コミュ強”は人間だけじゃない。「マレーグマ」は仲間の表情を「顔マネ」する

animals_plants 2019/03/23

Point
■マレーグマが遊び相手の表情をはっきりと真似ることが判明
■遊び相手とのじゃれ合いの中で、遊び相手の上の門歯を見せる表情や、それを隠す表情をぞれぞれ真似る
■高次コミュニケーションが、ヒトや類人猿以外の動物でも見られる可能性を示唆

他者の表情を真似ること。それは、あまりにも洗練されたコミュニケーション形式であるために、ヒトか類人猿にしか行うことができないと、従来考えられてきました。

最近の研究で、人類の社会的成功における重要な柱の1つとして広く見なされてきた「顔マネ」を、東南アジア原種の世界最小のクマ「マレーグマ」も行うことが示され、世間を騒然とさせています。論文は、オンライン雑誌「Scientific Reports」に掲載されています。

Facial Complexity in Sun Bears: Exact Facial Mimicry and Social Sensitivity
https://www.nature.com/articles/s41598-019-39932-6

この発見は、少なくともコミュニケーションの点では、これまで人類特有のものだと考えられてきた能力が、ひょっとしたら他の哺乳動物にも共通するかもしれないことを示唆しています。人類の優位性に疑問を呈する大発見です。

研究を行ったのは、英ポーツマス大学のマリナ・ダヴィダロス氏らの研究チーム。2年間にわたる調査で、マレーグマが遊び相手の表情を真似ることで、相手との絆や結束を示す様子を観察しました。

マレーグマは表情による極めて複雑なコミュニケーションを行います。また、マレーグマは、サルや類人猿と違ってヒトと進化上の関連を持たないだけでなく、イヌのように家畜化されてもいないことから、他者の表情を真似るという高次コミュニケーションが、他の動物でも見られる可能性は極めて高いと、研究チームは推測しています。

研究チームは、マレーシアにあるマレーグマ保護センター”Bornean Sun Bear Conservation Centre”で生活する年齢12歳までの22頭のマレーグマの自発的な社会的遊びを観察し、数百点に上る遊びの場面を動画記録に収めました。敷地は十分に広く、マレーグマは他の個体と交流するかどうかを自由に選択することができます。

その結果、マレーグマが口を開いた時の顔つきに、2種類のはっきりと区別できる表情があることが判明。1つ目は、上の門歯(前歯)をむき出しにして見せる表情、もう1つはそれを見せない表情です。

さらに驚くべきことに、22頭のうち13頭が、遊び相手とじゃれ合う間に、相手の表情をはっきりと真似する傾向が明らかになりました。つまり、遊び相手が上の門歯を見せる表情をしたら自分も同じ表情をし、反対に上の門歯を隠す表情をしたら自分も同じ表情をしたのです。

「マレーグマはかなり社会性の高いのだろう」と考えてしまいますが、実のところ、彼らははほとんど単独で生活する動物で、決して社交的だとは言えません。「複雑な社会システムを持つ種だけが、複雑なコミュニケーション形式を持つに違いない」という考え方は、私たちの思い込みなのかもしれません。

また、表情でのコミュニケーションを含むこうした社会的スキルは、一見シンプルな社会生活を送っているように見える動物にも当てはまるものなのかもしれません。

それにしても、2頭のクマたちは顔マネをすることで、一体どんな気持ちをお互いに発信しているのでしょう。「もっと遊ぼうよ!」、あるいは「僕たち仲間だよね!」なんて伝えあっているのかもしれませんね。

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reference: independent, youtube / translated & text by まりえってぃ

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