毒をもって毒を制す。対食中毒の最終兵器「ファージ療法」

animals_plants 2018/04/01
Credit: Pixabay / バクテリオファージ

バクテリオファージ(以下ファージ)とよばれるウイルスは、細菌を殺すことで知られています。その食べ尽くすかのような様子から、「細菌(bacteria)を食べるもの(ギリシア語:phagos)」という名前が付きました。

ファージは細菌に感染することで増え、拡散するときに内部からその宿主を破裂させて殺します。そして抗生物質が効かない細菌の報告が増える昨今、このファージによる殺菌作用が再び注目されています

International Journal of Food Microbiologyで発表された報告によると、ファージは食品を媒介する病原体を処理でき、食中毒を減らすことができるとのこと。

ソウル国立大学とヘルシンキ大学の研究者たちは、研究に際して、エルシニア症を引き起こす細菌であるエルシニア・エンテロコリチカに注目しました。エルシニア・エンテロコリチカは豚をはじめとした様々な動物の中にいます。不衛生な食肉、特に生だったり調理が不十分な場合、それを食べた人はこの細菌に感染します。また、幼児や赤ちゃんは、おもちゃや哺乳瓶、おしゃぶりを口に入れたときにエルシニア症にかかることがあります。

Credit: naturalnews

食品だけでなくキッチン用品にも

研究チームは、エルシニア・エンテロコリチカに感染し無毒化できる4つの強力なファージを分離し、同定しました。一つはポドウィルス科(fHe-Yen3-01)で、3つはマイオウィルス科(fHe-Yen0-01、fHe-Yen9-02、fHe-Yen9-03)です。4つの内、fHe-Yen9-01は最も効果的で、61.3%もの細菌株に対して打撃を与えることができました。次に、fHe-Yen9-01ファージが細菌に感染した食品の処理に対して、どれだけ効果的かを評価しました。

食品サンプルはエルシニア・エンテロコリチカにさらされ、それからファージで処理されました。その結果、ファージによる処理で食品サンプル中での細菌の成長が阻害されることがわかりました。テストを行ったのは、生の豚肉(72時間4℃で保存)、調理済み豚肉(12時間26℃で保存)、そして牛乳(72時間4℃で保存)です。

さらにファージ処理は、細菌にさらされたまな板や包丁といった台所器具でも同様に機能します。研究者によると、これは食品や台所器具でもファージが有効に働くことを示した最初の研究とのこと。将来的には、除染過程や実際の食品加工におけるファージの応用も研究がなされることでしょう。

「サルモネラ菌やカンピロバクター、多くの一般的な食中毒細菌のような様々な細菌に対して効果的な混合ファージの研究も期待されます。この混合ファージは、例えば家畜の飲み水に加えるなどして、予防的な方法に利用することも可能です」と研究を行ったスクリック氏は語っています。

 

将来は、「食中毒対策も台所の除菌もファージにおまかせ」という時代が来るかもしれませんね。

 

via: Natural News / translated & text by Nazology staff

 

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