長い間謎だった木星の成り立ちがわかったかもしれない

space 2019/03/30
Photo credit: Seán Doran on Visual Hunt / CC BY-NC-ND
Point
■木星の進化については、内側の軌道で生まれて外に移動したとする説があったが、太陽近くでガスが定着するとは考えられず謎とされていた
■木星軌道前後の小惑星群であるトロヤ群の非対称性に着目して、惑星形成シミュレーションを行った
■45億年前に現在の天王星ほど離れた場所で木星の卵は生まれ、小惑星群を軌道に取り込みながら現在の位置にまで降りてきたことがわかる

巨大なガス惑星である木星。

巨大さとその位置から現在の位置で進化したとは考えられず、成り立ちは謎とされていました。

そこで新たな研究ではシミュレーションを使って、どの位置で最初に生まれて進化し、現在の位置に落ち着いたのかを調べています。ヒントとなったのは、木星軌道の小惑星群であるトロヤ群です。研究は、「Astronomy & Astrophysics」で発表されており、arXivで読むことができます。

Consequences of planetary migration on the minor bodies of the early solar system
https://www.aanda.org/component/article?access=doi&doi=10.1051/0004-6361/201833713

遠くの場所から降りてきた木星

研究によると、木星は現在の位置から遥か遠くで微惑星として生まれ、螺旋を描きながら現在の位置にまで落ちてきたようです。

研究者たちが注目したのは、木星の太陽軌道上にあるラグランジュ点にとらえられた小惑星群であるトロヤ群です。ラグランジュ点とは、質量の小さな天体が釣り合った引力にとらえられて安定する領域で、トロヤ群は5つあるラグランジュ点のうち、L4とL5の2つの領域にあります。木星の進行方向の前と後ろに当たる領域です。

下のアニメーションをみると結構広い範囲に広がってることがわかりますね。

Credit: Astronomical Institute of CAS/Petr Scheirich

研究者たちが疑問に思ったのは、2つあるトロヤ群のうち、先行するトロヤ群のほうが、あとから来るものよりも50%も多くの小惑星を含んでいること。この様な非対称が生まれたのには、何か理由があるはずです。

そこで、このような偏りが生まれるような木星の進化がどのようなものだったのかをシミュレーションで確かめました。様々な時間枠でシミュレーションを行ったうえ、惑星が外に向かって軌道を変えるという条件も試しました。

その結果今日のようなトロヤ群ができる条件は、木星が45億年前に18天文単位太陽から離れた場所で生まれた場合であることがわかりました。しつこく条件を調べた研究者の勝利です。

生まれた後に木星の卵は200万から300万年かけて育ち、現在の5.2天文単位の位置に移動を開始します。到達までにかかった時間はおよそ70万年です。

太陽の中心に向かって螺旋状に近づき始めると、太陽系を漂うガスの重力に引っ張られながら、木星の卵はその引力でトロヤ群を軌道に引き入れます。この際に前後での偏りも生じるのです。

この大移動が起こったのは、木星がガスを集める前で、惑星の核になる岩石を集める段階でした。そのため、木星の核はトロヤ群の小惑星と同じ組成をしているはずです。

巨大ガス惑星が恒星の近くで形成されることは考えられないため、木星の生い立ちは惑星学者たちを悩ませ続けて来ました。強い重力や太陽放射、強力な太陽風などが、惑星にガスが留まってその一部になることを妨げるのです。

なので、先行研究によって提唱されていた「木星の形成が太陽近くで行われ、外へと移動した」とする説と矛盾していたのですが、今回の発見はそれを解消しており、更に他の惑星系での知見とも一致します。

そして、今回のシミュレーションが正しいとすれば、トロヤ群の小惑星を調べることで木星の内部構造がわかることになります。NASAは、2021年にルーシー探査機が打ち上げ、トロヤ群の小惑星を調べることを計画しています。2027年にはトロヤ群に到達する予定であるので、気長に待つことにしましょう。

木星の大赤斑で「水」を発見 従来の説を覆す

reference: Science Alert / written by SENPAI

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