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殺人事件と間違われて…。2000年前のリアルすぎる遺体「トーロンマン」とは (3/3)

2021.01.27 Wednesday

2019.04.01 Monday

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「トーロンマン」は生贄に捧げられた?

X線スキャンによる遺体調査では、脳だけでなく内臓まで、ほとんど無傷のまま残されていました。しかし「トーロンマン」がなぜ沼地で死んでいたのかは大いに疑問です。

しかし現在では、「神への生贄に捧げられたのではないか」という説が最も有力となっています。

まず遺体には絞首に使われた縄がキツく巻きついていました。それから帽子とベルト以外には衣服を身につけておらず、沼に沈んでいたことから第三者が関与していると思われます。

しかし首の骨折のほか、目立った外相は見当たらず、遺体も乳児のように膝を抱え込むようにして横たわっていました。明らかに個人的な恨みで行なった殺人ではありませんね。

Credit:smithsonianmag

また沼地というのは、当時の人から神聖な場所であると考えられていた可能性が大いにあるのです。例えば、湿地帯では「ウィルオウィスプ」と呼ばれる、青白く発光する球体がよく目撃されます。いわゆる、外国版火の玉ですね。

これには沼地から噴き出したメタンガスに、何らかの原因で引火することで起こるというれっきとした科学的メカニズムがあります。しかし2300年前の人たちは当然そんな詳しい仕組みを知らないでしょうから、「沼地に神の使いが現れた」とか「沼地は聖なる場所だ」と捉えてもおかしくありません。

そのことから、作物の豊穣を祈るための儀式として沼地を選んだのでしょう。

「トーロンマン」は現在、デンマークのシルケボー博物館にて展示されていますが、オリジナル部分は頭部だけで、あとはレプリカなんだそう。というのも、1950年当時に遺体の全身を保存する技術がなく、頭部だけを切り離していたのです。

そのほかは残念ながら腐敗の侵食が進み消失してしまいました。やはり2000年ぶりの外気が肌に合わなかったんでしょうか…。

道徳的な神が出現するターニングポイントは「人口100万人」だと判明

reference: smithsonianmag , ancient-origins / written & text by くらのすけ

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