両生類ガクブル…皮膚を食べる「ツボカビ」が過去50年で90種の両生類を絶滅させた

biology 2019/03/31

Point
■ツボカビという真菌が、過去50年で501種の両生類の数を激減させ、うち90種を絶滅させたことが判明
■ツボカビは、両生類の表面に寄生・繁殖し、皮膚呼吸をできなくさせて死に至らしめる
■ツボカビのさらなる拡散や、新型の出現を阻止するための取り組みが、国際社会に求められている

全「両生類界」が震撼。

最近の研究で、ある真菌が多くの両生類を死に追い込んでいることが明らかになりました。両生類の表面に寄生・繁殖し、皮膚呼吸をできなくさせて死に至らしめるという、カエルたちも真っ青のこの恐ろしい真菌です。

結合組織を構成する遊走細胞を放出する際に丸い蓋が開くものがあり、その姿が壺のように見えることから、「ツボカビ」と名付けられています。

ツボカビがもたらす世界的な影響を今回はじめて測定したのは、42名の研究者から成るオーストラリア国立大学が率いる国際チーム。論文は雑誌「Science」に掲載されました。

Amphibian fungal panzootic causes catastrophic and ongoing loss of biodiversity
http://science.sciencemag.org/content/363/6434/1459

過去50年で90種の両生類を絶滅させたアジア生まれの真菌「ツボカビ」

ツボカビが引き起こすツボカビ症は、大量の両生類が死亡した謎の原因を調査していた米・ジェームズクック大学の研究チームが、1998年に発見しました。ツボカビ症は、2種類のツボカビによって発生します。

これらはどちらもアジア原種と推定されていますが、人間が行う合法・非合法の動物取引などが原因で、世界中に拡散したものと見られています。

ツボカビ / Credit: Daszak P, Berger L, Cunningham A, Hyatt A, Green D, Speare R

今回の調査で、「ツボカビ症がどの程度拡大しているか?」、また「カエル・ヒキガエル・サンショウウオなどを含む両生類にとってそれがいかに破壊的であったか?」が、明らかになりました。なんとこの50年間で、少なくとも501種の両生類の数を激減させ、そのうち90種を絶滅させたと推定または確認されたそうです。

アジア生まれの両生類は平気だけど…抵抗性のない両生類にとっては悲劇

ツボカビ症による両生類の減少が見られた地域は、ヨーロッパ・アフリカ・中南米・オーストラリア。一方で、アジアでは同じ現象が見られませんでした。これは、アジアに生息する両生類が、同じくアジア生まれのツボカビに対する抵抗性をもともと持っているからです。

とりわけ状況が深刻なのは、中南米とオーストラリア東部でした。ツボカビは気温28℃を越えると死滅するため、涼しく湿った環境を好みます。

mistfrog / Credit: Damon Ramsey

特に、生物多様性を誇るオーストラリアでは、この窮境を切実に捉えています。オーストラリアに生息する240種の両生類のうち、40種はツボカビ症の影響で生息数が減少しているものは40種。うち7種は絶滅が予測されています。

その中に含まれるmistfrogは、オーストラリア政府によって絶滅危惧種に追加されました。また、southern corroboree frog、northern corroboree frogについては、絶滅防止を目的とした大規模な飼育下繁殖が行われているところです。

パンデミックさながらの危機に直面するカエルたち…。世界から大量の両生類が姿を消すことでもたらされる環境への影響は計り知れません。ツボカビのさらなる拡散や、新型の出現を阻止するための取り組みが、国際社会に求められています。

 

バイオセキュリティの概念を考える時、私たちは病気からどうやって「人」や「家畜」を守るかということにばかり焦点を当てがちです。ですが、本来は「生き物」すべてを含むかたちでの保護が目指されるべきであるはず。人間の活動が招いたこの大惨事を真剣に受け止めて対策を講じることは、両生類だけではなく、回りまわって私たち人間自身を救うことにもなるでしょう。

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reference: theguardian,  dw / translated & text by まりえってぃ

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