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盲目の人は「色」をどのように考えているのか? (2/2)

2021.01.27 Wednesday

2019.04.28 Sunday

前ページ抽象概念を司る脳領域で色の概念を理解

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「正義」を理解するように「赤」を理解!?

「もしあなたが盲目の人と話していて、相手が盲目だと知らなければ、彼らの『赤』という経験が自分の経験と異なるなんて考えもしないでしょう。なぜなら、彼らは実際に『赤』の意味を理解しているからです」と、カラマッツァ氏は説明する。つまり、目が見えない人は、目が見える人が「正義」の意味を理解するのと同じように、「赤」の意味について聞いたり読んだりすることで知るということだ。

目が見えない人は、色の知覚経験を持たない代わりに、言語を通じて色の概念を形成するようだ。しかもそれは、目が見える人が考える以上に、正確かつ豊かなものらしい。

Credit: pixabay

過去の研究では、目が見えない人が、オレンジ色が、緑や青よりも黄色や赤に近いものだと理解していることが示された。色を、自分が経験する知覚特性とは異なる物体や場面の特性として理解するだけでなく、色同士の違いさえも学ぶことができるというのだから驚きだ。

盲目の人における色の知識に関する従来の研究は、色に関する用語の理解という側面に焦点が当てられてきた。

だがカラマッツァ氏らの研究は、色の概念を処理する脳領域に着目したことで、それらとは一線を画している。言語を通じて何らかの概念を獲得する上で、特定の脳領域がいかに重要な役割を果たしているかが分かる。

「視覚や聴覚を持たない人々がこの世界をどう理解しているか?」という疑問は私たちの心を捕えて離さないテーマの1つだが、脳は私たちが考える以上にフレキシブルだ。私たちが感じている世界は、思いの外違わないのかもしれない。

盲目の人も「クスリ」で幻覚が見えるのか?

reference: digest.bps / translated & text by まりえってぃ

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