なぜ英国女性はデンマーク人の精子を求め、海を渡るのか?

society 2019/04/21
Credit: mirror

いま、精子ドナーを求めてイギリスからデンマークへと渡る女性が増えています。

最新の統計では、現在6,000人以上の父親のいないイギリス×デンマークのハーフの子どもがイギリスに住んでおり、海外からイギリスに輸入される精子のおよそ半分はデンマーク人のものであるとのこと。

こうした「ヴァイキング・ベイビー」と呼ばれる子どもたちは、ハンサムでたくましい遺伝子を持っているため非常に人気が高いのだとか。

「精子ドナーの危機」に瀕するイギリス

ホリー・ライアンさんの3歳になる子ども、ジョアンくんの瞳は青く、厚いブロンドの髪をなびかせていたずらな微笑みをみせます。こうした特徴はすべて、彼が会ったことのないスカンジナビア半島の父親から遺伝したに違いありません。

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しかし、イギリス人女性が妊娠を成功させるためにコペンハーゲン行きの飛行機に乗り込む理由は、これだけではありません。実のところ、イギリスは現在「精子ドナーの危機」に瀕しているのです。

イギリスでは毎年13,500人が、ドナーから提供された精子あるいは卵子を用いた不妊治療を受けています。しかし、イギリス国内では慢性的な精子ドナーの不足が続いている状態なのです。

2005年には法律が改正され、子どもが18歳になるとドナーの公開を請求できるようになったことで、人生の後半で急に「息子・娘」が家のドアをノックすることを嫌がる男たちのホンネが反映され、この傾向はますます強まってしまう結果となりました。

2010年に精子ドナーとして登録したイギリス人はたったの480人であり、2015年にはその数を直ちに増やすため、バーミンガムに国立の精子バンクが設立されましたが、そのドアをくぐったのはわずかに9名であり、悲しいことに2年後にはシャッターが閉められることとなりました。

「彼氏」と同じように厳選したい

European Sperm BankのCEO、Annette Arndal-Lauritzen氏は、「ドナーの精子を利用する人の数は増えており、多くのイギリス人女性はローカル(イギリス人)の精子をもらうことを望んでいます。私たちは、イギリス人の精子提供に対する偏見をなくしていきたいと考えており、さらにその重要性についても伝えていくつもりです。イギリス人男性が立ち上がらなくては、女性に対して望むものを与えることができないのです」と語ります。

Credit: mirror / CEO Annette Arndal-Lauritzen

さらに、イギリスのEU離脱(ブレグジット)がこの状況を悪化させる懸念もあります。ブレグジットが実現すれば、デンマークをはじめとしたEU諸国から精子を輸入することができなくなるのです。こうした現状からも、イギリスには自国で十分な精子を供給できる体制が必要とされているのです。

ホリーさんは現在、厳選した精子によって21週目の2人目の赤ちゃんを妊娠中です。彼女が人工授精の処置を施すため、デンマークへと渡った回数は12回。1度の渡航にかかる費用はおよそ1,000ポンド(約15万円)です。

これはつまり、彼女が1人の赤ちゃん妊娠するために、およそ6,000ポンド(約90万円)の費用を捻出したということになります。そこまでして、どうして彼女は特定の精子ドナーにこだわることができるのでしょうか。ホリーさんはこれについて、「そうね、彼氏を選ぶのと同じことよ」と笑います。

精子ドナーになる理由は人それぞれ

デンマーク人ドナーの1人である27歳のルーカスさん(仮名)は、お金のためにドナー登録をしたわけではないと語ります。「なかなか妊娠できないいとこの姿をみて、不平等だと感じました。そして彼女のような人を助けたいと思ったんです」

ルーカスさんのガールフレンドも、彼の行動をあまり気にしている様子はありません。「彼女はいつも一緒に歩いているときに、『あの子もあなたの子かもね』といって僕をジョークのタネにしてくるんです。僕は『まさか!』って答えるんですけどね」

「確かにその可能性はありますよ。でも、そんなことを考えて毎日を過ごしたってしょうがないですよね。僕に1,000人も子どもがいるわけじゃないんですから。彼女は僕が精子ドナーになることをすぐに受け入れてくれました。そうした決断も僕の一部なんです」

Credit: mirror / European Sperm Bankの「マスタベーションルーム」

4年間にわたり精子提供を続けてきたルーカスさんが、これまで何人の「父親」になってきたのかは誰にも分かりません。しかし、オープンドナーの制度ができたことで、ルーカスさんの「子ども」は18歳になると彼に会いに来る可能性があります。

イギリスの制度とは対照的に、デンマークでは精子提供者がオープンドナーとなるのか、匿名のままでいるのかを選ぶことができます。それでもオープンドナーとなることを選んだセバスチャンさん(仮名)は、精子提供の理由について、まだ自分が運命の女性と巡り会えていないからだと語ります。

 

現在33歳のセバスチャンさんは、「もし将来自分が子どもを持てなかったとしても、この世のどこかに自分の遺伝子が存在していると考えると、なんとなく嬉しくなると思うんだ。僕は将来、自分の子どもに会って自分に似ているかどうか確かめたかったから、オープンドナーを選んだんだ。これは僕にとって1つの小さな実験なんだよ」と語っています。

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reference: mirror / written by なかしー

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