もはや執念。MITが遺伝子編集なしで世界一美味しいバジルを開発する

biology 2019/04/07
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Point
■様々な光の条件と、その環境で育てたバジルの化学分析データを機械学習に学習させ、もっとも美味しいバジルを生産できる条件を見つける
■研究の目的は、最適な生育条件を見つける方法を確立することであり、広い応用が見込める
■開発した気候調節ボックスを普及させ、発育条件や発育状況をモニターしてクラウドで広く共有することで、最適な発育条件を生み出すことを期待

バジルへの愛情がすごい。

MITの研究者たちが、その夢を叶えてくれるかもしれません。バジルの発育に必要な光の条件を研究した結果、彼らが作ったバジルこそが「世界一美味しいバジル(※個人差があります)」となったのです。

この研究の趣旨は、バジルの研究ではなく、美味しいバジルの作り方への到達方法です。研究は、Open Agriculture Initiative(OpenAg)で行われ「PLOS One」で発表されています。

Flavor-cyber-agriculture: Optimization of plant metabolites in an open-source control environment through surrogate modeling
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0213918

日照条件だけで最高のバジルを作る

研究者たちは貨物コンテナの中で、2000ものバジルを様々な光の条件で育てています。そのバジルたちの光の色や強度、照射時間を変えたもの、さらに様々な環境で育てたバジルからデータを取り、ガスクロマトグラフィーやマススペクトロメトリーによる化学分析を行いました。

続いて、光の条件とバジルの化学分析の結果を機械学習プログラムにフィードして学習させます。そしてバジルの葉に含まれる揮発性化合物の値を元にして、最も美味しいバジルを育てる最適な「気候レシピ」を作らせました。

研究は概念実証研究で、環境制御と機械学習を、収穫物の味の予測に使えることが示されました。研究者たちは単純に生育条件だけを最適化させ、遺伝子の改変をせずに望んだ性質をもった植物を育てたのです。

Photo credit: htomren on VisualHunt / CC BY-NC-SA

アルゴリズムが提示した「美味しいバジル」に最適な24時間の光の照射条件は、従来の方法で見つけることはできなかったでしょう。現実世界で24時間の日照条件を満たすのは、南極ぐらいのものだからです。さらに、機械学習を使わずに成長レシピを従来の地道な方法で見つけるのは、難しい上に時間もかかります。

今後は、がん治療の薬の成分を生み出すニチニチソウのような薬草の生産量を高める研究を行うとのこと。また、研究のスケールを大きくしたり、生育条件を温度や湿度、大気中の二酸化炭素量、バクテリアや肥料にまで広げることも可能です。

データをオープンソースにして最適条件を探そう

OpenAgでは、「personal food computer(PFC)」という気候調節ボックスを開発しています。それによって特別な環境で植物を育てて、発育状況をモニターし、データをクラウドに送ることができます。現在数百のPFCが使われており、使用者には科学教育目的の中高生もいます。将来的には、研究者から愛好家、学生まで使用者を数千人にまで増やして、オープンソースデータを蓄積し、その中から最適な生育条件が生まれてくれば良いと考えているそうです。

 

世界一美味しいバジルは、さらなる研究でもっと美味しくなる余地があるようです。応用範囲も、バジルに留まることはないでしょう。科学の力で生まれる最高に美味しいサラダ。ぜひとも食べてみたいですね。

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reference: bostonglobe / written by SENPAI

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