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ビーガニズムは宗教なのか?

2019.06.03 Monday
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Credit: depositphotos

卵や牛乳を含む動物製品の使用を行わない「ビーガン」の人口は、世界的に増加の一途をたどっている。統計によると、2017年時点で米国国民の6%、2014年時点で日本国民の2.7%がビーガンだと自認しているようだ。

その一方で、ビーガンを巡る論争は後を絶たない。

ビーガニズム発祥の地である英国では、あるグルメマガジンの編集者が、記事の中でビーガンをからかったことが原因で退職を余儀なくされた。また、ある銀行員が、自宅近くに描かれたビーガンを支持する内容の落書きに反感を持ち、顧客に「ビーガンにはパンチを一発お見舞いすべきだ」と発言し、問題になった。

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解雇されたグルメマガジンの編集者William Sitwell氏 / Credit: John Alex Maguire/Rex/Shutterstock

では、哲学的信仰としてのビーガニズムは、どの程度まで法的保護を受けるべきなのだろうか?英国労働裁判所は、「ビーガニズムは保護されるべき信仰か?」という問題について、今年中に法制定を行う運びだ。

性別・人種・宗教の違いによって人を差別することが違法だといういうことは、誰もが理解している。だが、信仰の違いによって人を差別することもまた、法律に反している。

とはいえ、もちろん、すべての信仰が保護されるというわけではない。たとえば、朝寝坊を固く信じているからといって、それを理由に仕事を休むなんて、普通は許されない。

では、「信仰」とは何か?世界各国の法律や国際条約は、信仰について言及はしているものの、その定義を明確に定めてはいない。

ビーガニズムを信じる人にとっては良心の問題

保護されるべき信仰とは、重大かつ論理的で、人の尊厳の基準に合致しており、民主主義社会において敬われるべき価値のあるものでなければならないという見方がある。

信仰を巡るトラブルを扱った裁判の先駆けと言えば、ロンドンの不動産会社に勤める会社員ティム・ニコルソン氏が、自身が受けた不当解雇について会社に対し訴訟を起こしたケースだ。ニコルソン氏は、人間が引き起こす気候変動に立ち向かうことの大切さを強く信じており、そのために彼が言うところの「つまらない理由」による飛行機での移動を拒否した。

この時の裁判官は、保護対象に当たる信仰は、人間生活において重要な意味を持つ局面に関わるものでなければならないと明言している。ニコルソン氏の主張を擁護しつつ、裁判官は、反戦主義・共産主義・自由市場資本主義だけでなく、菜食主義もまた、保護されるべき信仰として将来的に認知されるであろう可能性を示唆した。

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Credit: pixabay

他にも、「キツネの狩猟は許されない」、「超能力で死者と話ができる」、「BBCは異文化交流を促進すべきだ」、「スコットランドは独立すべきだ」という信仰はいずれも、保護の対象に当たるという判決が下された。

このように、宗教とは関係のない信仰が保護の対象として認められていることからも明らかなように、信じることの自由は、特定の宗教を信じる人だけの特権ではない。ビーガニズムは、それ相応の犠牲・義務・献身が求められる筋の通った生き方の一つだ。たとえ誰かがそれに反対したとしても、ビーガニズムは、多くの人々にとっての良心の問題なのである。

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