どうなってるの? 固体と液体を同時に実現できる新たな状態が判明

chemistry 2019/04/09
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Point
■高温高圧の状態に、カリウム金属を置くシミュレーションにより物質の新たな相が可能かを検証
■カリウム原子の格子状結晶の中を、鎖状に解けた原子が液体のように振る舞う新たな状態を発見
■ナトリウムやビスマスといった他の元素も、同様の状態へと移行する可能性

固体でも液体でもあるのは猫だけかと思っていたら、実際の物質にもそのような状態があるようです。

物質には固体、液体、気体と明確に分けられる3つの状態があります。しかし新たな研究で、固体と液体の両方の状態を同時に満たす新たな物質状態が発見されました。

研究は「PNAS」で発表されています。

On the chain-melted phase of matter
https://www.pnas.org/lookup/doi/10.1073/pnas.1900985116(※4/9 12時現在リンク切れ)

単純な金属であるカリウムは、高温高圧に置かれると元素の多くが格子状構造を取ります。しかしそれは固体であると同時に、鎖状に連なった原子が液状になったものも含んでいたのです。

研究者によると、最適な条件下でこの新しい状態へと移行する可能性があると考えられる物質は、ナトリウムやビスマスなどの6種類です。

しかし現在のところ、この異常な状態が物質の明確な状態を表しているのか、それとも、2つの状態の単なる移行段階なのかははっきりしていません。

「一部が固体で一部が液体」?

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エジンバラ大学で行われた研究では、チェーン・メルティッド・ステイトとして知られる状態が存在するのかを調べるため、強力なコンピュータを使ったシミュレーションが行われました。

2万個までのカリウム原子が、極端な環境でどのように振る舞うのかをシミュレーションした結果、その構造が安定した新しい状態を形成することがわかったのです。

原子に圧力をかけると、2つの相互接続した固体の格子構造が形成されます。それぞれの格子内部での化学結合は強固なので、熱が加えられたときに片方は固体を形成し続け、片方が解けて液状になるとのこと。解けたものは、鎖状につらなり格子の中を自由に動きます。

研究を率いたアンドレアス・ハーマン博士は、「カリウムは知る限り最も単純な金属の一つですが、それでも圧力をかけると、非常に複雑な状態を形成します。この普通ではないけれど安定した状態は、一部が固体で一部が液体であることを私達は示しました。この普通ではない状態が、他の素材でも再現できれば様々な応用が期待できるでしょう」と述べています。

 

この新たに見つかった中間状態は、液晶のように3次元的な秩序を失った状態とはまた違うようです。発見はシミュレーションによるものなので、実物を用いた実験での確認も必要でしょうね。

液晶でも結晶でも液体でもない「新物質」を発見

reference: Phys.Org / written by SENPAI

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