未知の人類の「歯の化石」を発見!原人と旧人のハイブリッド人類である可能性も

history_archeology 2019/04/09
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Point
■1972年および1983年に中国で発見されていた「歯の化石」は、当初考えられていた「ホモ・エレクトス」のものではないと判明
■歯の精密な分析の結果、ホモ・エレクトスのような原人やネアンデルタールのような旧人にも当てはまらない
■ロシア・アルタイ地方に住んでいた「デニソワ人」とホモ・エレクトスの一種である「北京原人」とのハイブリッドの可能性もある

原人と旧人のハイブリッド人類だと…?

中国南部にある桐梓(とうし)県の洞窟にて、1972年および1983年に、人類のものと思われる歯の化石が4本発見されていました。当初は原人である「ホモ・エレクトス」のものとされていましたが、最新の研究で、ホモ・エレクトスの特徴と一致しないことが判明したのです。

北京にある古脊椎動物・古人類研究所の研究チームは、桐梓の歯を持ち主は原人と旧人が異種交配して生まれた「謎の人種」であるかも知れないと示唆しました。このヒト、一体何者なんでしょうか。

研究の詳細は、3月に「 Journal of Human Evolution 」上に掲載されています。

Late Middle Pleistocene hominin teeth from Tongzi, southern China
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0047248418303464?via%3Dihub

原人ではないけど旧人でもない

「ホモ・エレクトス」は、およそ50万年以上も前に初めてアフリカを出た直立二足歩行の原人です。その後数十万年をかけてヨーロッパや中東、アジアにまで拡がっていきました。その代表に北京原人がいます。

桐梓県の歯も北京原人のものだろうと思われていましたが、X線マイクロトモグラフィという技法を用いて歯の表面や内部の微細な構造を断層撮影した結果、ホモ・エレクトスの歯とは一致しませんでした。

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特に桐梓の歯には、エナメル質の下にある組織の内にホモ・エレクトスには必ず見受けられる特徴が欠けています。また、桐梓の歯を持つ人類が生きていたのは、だいたい17万2000年〜24万年前です。

このことから、もう少し時代の新しいネアンデルタールといった旧人グループに属する可能性もあるため、桐梓の歯をアフリカや東アジア、西アジアに住んでいた旧人の歯と比較調査しました。しかしながら、桐梓の歯は旧人と似ていたものの一致はしなかったのです。

ホモ・エレクトスとデニソワ人とのハイブリッド説

原人と旧人のどちらにも属さないことから、研究チームは両者のハイブリッド説を提唱しました。原人の方は、当時の中国に住んでいた北京原人のホモ・エレクトスであろうと考えています。

そして旧人の方は「デニソワ人」である可能性が高いようです。デニソワ人は少なくとも40万年前にはネアンデルタールから分岐した旧人であることがわかっており、主にロシア・アルタイ地方のデニソワ洞窟で暮らしていたとされています。デニソワ洞窟は、中国やモンゴル地方に近い地域です。

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さらにデニソワ人は、アジア内陸部に移住して異種交配していた証拠があります。昨年発見された化石は、ネアンデルタールの母とデニソワ人の父を持つ10代少女でした。

つまり、中国方面に南下したデニソワ人が、そこに住んでいたホモ・エレクトスと交配した可能性は十分にありうる話なのです。

ただハイブリッド説を証明するには、桐梓の歯の持ち主のサンプルが少ないため、デニソワ人との精密な比較がまだできないそう。もし証明されれば、新たなハーフ人類が歴史に刻まれます。人類史には、知られざるアナザーストーリーがまだまだありそうですね。

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reference: nationalgeographiccuriosmos / written & text by くらのすけ

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