3タイプの「過剰な責任感」を持つ人々。強迫行動に陥ってしまう危険な傾向とは?

life 2019/04/10
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Point
■「過剰な責任感」を感じやすい人ほど、心配・強迫傾向が強まることが判明
■心配・強迫傾向は、意思的な行動であるにも関わらず、やめられないというのが大きな特徴
■今回の研究で、心配性と強迫傾向に共通する因子が見つかったため、新たな治療法が期待される

戸締りしたか気になってもう1度閉め直したり、書類の入れ忘れを心配して封筒を開けてしまう…

こんな風に「不安に駆られて同じ行動がやめられない!」といった経験、誰でも1度くらいはあるんじゃないでしょうか。ただこうした心配や強迫傾向が進行すると、それぞれ「全般性不安障害」および「強迫性障害」という精神疾患にまで深刻化してしまうんです。

そこで広島大学大学院総合科学研究科の杉浦義典准教授とセントラルフロリダ大学のブライアン・フィサク准教授の研究チームは、心配・強迫傾向の原因となっているものを調査しました。

その結果、「過剰な責任感」を感じやすい人ほど、心配・強迫傾向が強まりやすいことが判明したようなのです。研究の詳細は、4月4日付けで「International Journal of Cognitive Therapy」に掲載されています。

Inflated Responsibility in Worry and Obsessive Thinking
https://link.springer.com/article/10.1007/s41811-019-00041-x

「心配・強迫傾向」における2つのポイント

心配・強迫感情による行動は、やめようとして簡単にやめられるものではありません。その1番の特徴は「強迫行動は無意識なものではなく、自分の意思でやっている」ということです。例えば、恥ずかしさで赤面するのは自分ではどうしようもないですが、手を何度も洗ったりする行動はやめようと思えばやめられるはずですね。でもやめられないのが現実。

このように心配性および強迫傾向のメカニズムを知るための第1のポイントとして、「自分の意思でやっているのになぜやめられないのか?」ということが挙げられます。

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それから双方が深刻化して発症する「全般性不安障害」と「強迫性障害」は、ともに別々の病気として認知されていて治療もかなり難しいものなんだそう。しかし別々の精神疾患でも相重なる部分があるので「共通の治療も可能なのでは?」と考えられています。もし心配性と強迫傾向の間に共通する要因が見つかれば、今後の治療法改善にも大いに役立つことが期待されます。

そこで第2のポイントは「心配性と強迫傾向に共通のメカニズムはあるのか?」ということです。

悪の根源は「過剰な責任感」

アメリカ人大学生539名を対象として「心配・強迫傾向」に関する質問用紙に答えてもらった結果、「過剰な責任感」が因子として共通していることが明らかとなりました。さらに研究結果では、2つの特徴的な事実が判明しています。

1つ目に「過剰な責任感は3つのタイプに別れる」ということです。それがこちら。

(1)よくないことが起きるのを避けなくてはいけないと考えるタイプ

(2)よくないことが起きるのは自分のせいだと考え自分を責めるタイプ

(3)心配ごとについてはとことん考え抜かなくてはいけないという義務感を感じるタイプ

そして2つ目は上記3タイプの内、(2)の「自分を責める傾向」と(3)の「考え続ける義務感」が心配・強迫傾向の双方を強めていたということでした。一方で(1)の「よくないことを避ける傾向」は、心配・強迫傾向を強めてはいなかったようです。

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なぜやめられない?

「自分を責めてしまう感情」は、あらゆるネガティブ感情の中でも特に苦痛を感じるものです。責めの感情に追い詰められると、ますます確認や繰り返しなどの強迫症状が続けられてしまいます。

また「考えなければならない義務感」は、どこまで心配すれば十分なのかというハッキリした基準がないので、主観的に判断せざるを得ません。すると責めの感情と相まって、底なし沼のように自分をどこまでも追い込んでしまい、やめたくてもやめられないという強迫状態に陥ってしまうというわけなんです。

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しかし今回の研究によって、心配・強迫傾向には共通する要因があるという事実も明らかになったので、「過剰な責任感」を緩和するという方法が有用であると考えられます。

具体的な方法として挙げられるのは「コンパッショントレーニング」というもの。これは自分自身を慈しむようなイメージングをしたり、自分に対していたわりの手紙を書いたりするという方法です。

「自分に厳しく」も大切ですが、ときには甘口になってみるのも重要なことのようです。

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reference: research-er / written & text by くらのすけ

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