未来の可能性の「量子重ね合わせ」を生成する装置が開発される

quantum 2019/04/10
Credit: depositphotos
Point
■選択し続けた結果が導く未来の可能性は、世代を追うごとに爆発的に広がり、通常の方法で調べるのは困難
■起こりうる未来を量子重ね合わせの中に、その確率とともに持たせることのできる装置のプロトタイプが作られる
■プロトタイプでは可能性の数は16個に限定されているが、原理的には限度はない

これからの未来は量子コンピュータにお任せ!?

シンガポールの南洋理工大学(NTU)とオーストラリアのグリフィス大学が、同期した量子重ね合わせの中に、すべてのあり得る未来を生み出すことのできる量子装置の試作機を作ったようです。研究は「Nature Communications」で発表される予定です。

Interfering trajectories in experimental quantum-enhanced stochastic simulation | Nature Communications https://www.nature.com/articles/s41467-019-08951-2

未来のことを考えようとすると、先の未来に行くほど可能性が爆発的に増えます。例えば、1分間に1回、2つの選択肢から選ぶします。1時間後、すべての可能性は1400万にもなります。期間を1日にまで広げると、可能性の数は宇宙に存在するすべての原子の数を超えてしまします。

しかし、量子コンピュータにおいては、すべての可能性を重ね合わせへと置いて調べることができるのです。重ね合わせとは、量子の持つ不思議な性質の1つです。有名なシュレディンガーの猫の思考実験では、箱の中の猫が生と死を同時に持つという奇妙な状態を説明しています。

Credit: Dhatfield

 

研究チームは、光子の局在によって未来の起こりうる結果を表現できる、特別な光量子情報プロセッサを作って作成しました。それによって、この量子装置の持つ状態が、多数の起こりうる未来の重ね合わせであり、発生確率によって重み付けられていることを証明しています。

装置の構想は、有名なノーベル賞物理学者ファインマン博士の研究に影響を受けています。博士はある量子がA点からB点に移動するとして、その経路を1つに限定する必要がないことに気づきました。代わりに2点を結ぶすべての可能性のある経路を同時に通過するのです。

新たな装置によって、すでに一つの応用計算がなされています。ある選択をし、その選び方に偏りがあるときに、それがどれほど未来の結果に影響を及ぼすのかが計算されたのです。

この装置でとられているアプローチは、各々で偏りをもったすべての起こりうる可能性の重ね合わせを作ることです。重ね合わせをそれぞれ干渉させることで、すべての起こりうる未来を個別に調べなくても良くなります。

この性質を応用した量子コンピュータは、AIによる機械学習をずっと効率化できるでしょう。

Credit: NTU, Singapore.

今回の試作機では、最大で16個の未来の可能性を同時に扱えましたが、原理的にはアルゴリズムで扱える数に限りはありません。現在は量子コンピュータの黎明期であり、1960年代のコンピュータが出始めた時期に似ていると言います。その応用法を思いつく人の数はそれほど多くありませんでした。新たな発見は、利用法についての想像力をかきたてるでしょう。

 

爆発的な未来の選択肢から、正解となる経路を選ぶといった問題において、量子コンピュータはその威力を発揮します。オカリンもシュタインズゲートにたどり着くために量子コンピュータを使うことができれば、心理的ダメージを負わずにすんだかも。

量子コンピュータは時間を巻き戻したわけじゃなかったので反省して解説してみる

reference: Phys.Org / written by SENPAI

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