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史上初、ブラックホールの直接画像の撮影に成功!望遠鏡は「地球サイズ」!?

space 2019/04/11
Credit: EHT Collaboration
Point
■ブラックホールの存在は重力波で証明されていたが、その姿が直接観察されたことはなかった
■世界に散らばる電波望遠鏡をつなぐ、イベントホライズンテレスコープによって、直接観測が行われ解析されていた
■解析の結果得られた画像が発表され、M87銀河の超大質量ブラックホールの姿を見ることが可能に

この画像を待ってた…!

これまで理論と重力波データ上の存在だった謎の天体ブラックホールですが、その姿を史上初めて撮影することに成功しました。

この歴史的快挙を成し遂げたのは、イベントホライズンテレスコープ(EHT)。世界中に散らばる電波望遠鏡を、非常に精密な原子時計によってデータを正確に同期することによって1つの巨大な高倍率望遠鏡としたものです。まさに「地球サイズ」ですね。

この巨大プロジェクトには、日本の国立天文台も参加しています。研究は6本の論文にまとめられ、「The Astrophysical Journal Letters」に掲載されました。

Focus on the First Event Horizon Telescope Results
https://iopscience.iop.org/journal/2041-8205/page/Focus_on_EHT

このドーナツ状の光は?回転は時計まわり?

観測が行われたのは、地球から5500万光年離れた、乙女座方向にあるM87と呼ばれる楕円銀河中心の超大質量ブラックホールです。このブラックホールの質量は驚異的で、今回の観測結果から計算された質量は、なんと太陽の65億倍。

Credit: EHT Collaboration

画像の中央にぽっかり浮かぶ穴がブラックホールです。ブラックホールの探求は、その存在が一般相対性理論から導き出された100年前から始まりました。そして今回、ついにその理論の正しさが実物の画像によって確実なものとなったのです。

しかし正確には、ブラックホールを直接見ることは出来ません。その重力は凄まじく、光の速度でさえ脱出速度に到達できないので、まったく光を放出しないからです。

では、写真の周囲で光っている輪っかは何なのでしょうか?

これは降着円盤といって、ブラックホールに引きつけられたガスやちりが形成している円盤です。M87の超大質量ブラックホールは活発なので、非常に温度の高い豊富な降着円盤で囲まれています。これらの物質が電磁波を放射し、このようなドーナツ状の光として撮影されたのです。

降着円盤は回転しているため、その光は私たちに近づいているときはより明るく、遠ざかるときは暗くなります。いわゆるドップラー効果です。

回転スピードを決定できるほどの解像度は得られていませんが、4日間の観測の結果から、回転が時計回りであることが分かっています。

今回観測されたデータは一般公開され、誰でも利用可能とのこと。今後さらに解析が進めば、一般相対性理論とどれだけマッチしているかや、M87の相対論的ジェットがどのように放出されているのかといった疑問にもメスが入れられるでしょう。

ブラックホールの起源に迫る

M87の宇宙ジェットと周囲を取り巻く物質のイメージ / Credit: ESO / M Kornmesser

今回解析によって得られた画像の解像度は高くありません。そのため、回転するブラックホール周辺に見られるはずのフレームドラッギング(回転する重力源の周りの時空が引きずられるように歪む現象)は識別できませんでした。

もし識別できるほど解像度が上がれば、空間が引きずられる程度によってブラックホールの角運動量がわかります。そうすれば超大質量ブラックホールの成り立ちがわかるかもしれません。

射手座Aの画像も公開間近?

EHTコラボレーションでは、他に私達の天の川銀河の中心にある超大質量ブラックホールである、射手座Aの画像を得る試みもなされています。M87よりも質量が3桁ほど小さいため解析が難しく後回しにされていましたそうです。その姿も、もうすぐ見ることができるでしょう。

今回の素晴らしい成果は、始まりに過ぎません。技術的に観測可能であることは証明されました。今後 、解析が進んで解像度も増し、動画として観察できるようになれば、ブラックホールの謎は徐々に解き明かされていくでしょう。

 

直接観察に重力波、観測不可能と思われていた謎の天体が、現実のものであることが疑いようのないものとなりました。ブラックホールについては、超大質量ブラックホールの成り立ちや、相対論的ジェットのメカニズムなど、まだわからない謎が多くあります。観測によって、新しい謎がさらに生まれるかもしれません。今後の展開にワクワクが止まりませんね。

ワクワクだ。2つの巨大ブラックホールの「事象の地平線」を捉えた観測結果が近日発表されるよ!

reference: Science Alert / written by SENPAI

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