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「疑似スーパー・アース」の再現で暴け! 太陽系外惑星の中心で形成される結晶の謎

2021.01.27 Wednesday

2019.04.16 Tuesday

Credit: pixabay
Point
■太陽系外に存在するスーパー・アースの中心では未知の結晶が形成されているが、その正体はほとんど分かっていない
■ごく薄いサンプルに瞬間的に超強力レーザー光を照射して、超高圧環境下での分子の密度や化学構造を観測する手法の導入が進んでいる
■スーパー・アース表面のプレート構造・マグマの流れ・磁場の有無を導き出すことで、生命存在の手がかりが得られる

私たちの想像を遥かに越えた未知の世界である「太陽系外惑星」。その中心の圧力は、地球の中心の約10倍、地球表面のなんと4,000万倍にもなります。

太陽系外惑星の中心では不思議な結晶が形成されていますが、その正体はほとんど分かっていません。いつどのようにして作られるのか、またどんな見た目をしていて、どのような働きをするのかも謎に包まれたままです。もしこれらの謎を解くことができれば、惑星表面の環境についての重要なヒントが得られるはずです。

太陽系外惑星の内部が私たちにとって不可解な理由は、太陽系の一歩外に出ると、そこにはまるで違う世界が広がっているからです。太陽系の天体は、地球や火星のようにゴツゴツした岩状の小さいものか、土星や木星のようにガス状の大きなものであることが多いです。

一方で、太陽系の外には、スーパー・アース(地球の数倍程度の質量で、主成分が岩石などの固形成分の惑星)やミニ・ネプチューン(スーパー・アースから海王星程度以下の質量で、厚い大気で覆われた氷などの厚い層を持つ惑星)が多く存在することが、近年の調査で明らかになっています。

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こうした惑星は、主星が発する光を反射して生じるかすかな煌めきとしてしか観察することができません。「超高密度なのか、または超広大なのか?表面は熱いマグマや氷で覆われているのか?主星から放射線が降り注いでいるのか?磁場はあるのか?」こうした謎を解くことができれば、そこに生命が存在する可能性を導き出すことができます。そしてそのためには、その中心で一体何が起きているのかを解明することが鍵になります。

現代科学が直面する限界

太陽系外惑星についての現時点での理解は、私たちがいる太陽系の惑星について分かっていることを拡大または縮小することで導き出されています。

このアプローチの問題点は、地球とは比べ物にならない非常に強い圧力の下で物質がどんな働きをするかを単なる掛け算で導き出すことはできないということです。それは、そうした環境下では物質の特性が本質的に変化するためです。

スーパー・アースの中心に存在すると考えられている結晶は、非常に強い圧力が掛けられた時にのみ生じるユニークな原子配列であり、地球には存在しないものです。地球の表面や内部では、原子はその膜にある電子によって互いに結びつきます。ですが、スーパー・アースのような超高圧環境下では、原子核に近いところにある電子も巻き込まれるため、物資の形状や特質は完全に変わります。

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こうした物質の変化は、惑星全体の活動にさまざまな影響を及ぼします。たとえば、スーパー・アースが多くの熱を抱え込むこともその1つ。どれくらいの量を抱え込むかは明らかになっていませんが、もしそれが分かれば惑星の火山やプレートの構造を示すヒントになるでしょう。

また、主に鉄でできた金属から成る地球の中心には電気の流れのもととなる電子が多く含まれているため、地球は磁場を持っていますが、超高圧環境下でも同じことが起きるとはかぎりません。さらには、スーパー・アースの中心にある物質の結晶構造は、惑星のサイズにも影響を与えます。

ですが、こうした環境を持つ惑星は太陽系の中に間近に観察できる範囲には存在しません。そこで、計算や実験に頼ることになります。計算では結論が出ないことがほとんどですが、実験とはどうやって行うのでしょうか?一体どのようにして、現代科学技術の範疇を越えた圧力と温度を生み出すのでしょうか?

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