「コーヒーは生きていくために必要ない」スイスで緊急用食糧からコーヒーが除外される危機

life 2019/04/16
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Point
■スイスが国の緊急時における食料備蓄を再検討した結果、コーヒーは「必要ない」との判断が下された
■コーヒーは「栄養」の観点からの必要性に乏しく、今回の仕分けによって備蓄リストから外された
■それでもコーヒーの「精神衛生上の効果」を叫ぶ声も根強く、11月の最終決定までに様々な意見交換がおこなわれる予定

いやいや、必要でしょ。

スイス政府はこれまでの方針を変更し「コーヒーは生きていくために必要なものではない」と結論を出しました。第二次世界大戦以降に備蓄されてきた非常用のコーヒーが姿を消すこととなるかもしれません。

「精神衛生上」必要なもの

戦争や自然災害に備えるため、定期的に備蓄用の食糧の再評価をおこなっているスイスですが、このたび関係機関は、コーヒーは備蓄に必要不可欠なものではないとの判断を下したことになります。

「今日の基準に照らすと、コーヒーは必要なものではありません。コーヒーにはほとんどカロリーがなく、栄養の観点から食に貢献するものがないのです」

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現行の制度のもとで、スイスはおよそ15,300トンものロースト前の緑のコーヒー豆を備蓄しています。これは、スイスの人々が3ヶ月間コーヒーを飲み続けるのに十分な量であるとのこと。さらに、ロースト済みで必ずしも緊急用ではないものも16,800トンほどが、国の管理下に置かれています。

明日世界が危機を迎えたとしても、スイス人はコーヒー豆が底をつくまでのおよそ6ヶ月間は、優雅なコーヒータイムが許されています。緊急時の備えとしてはとても良いシステムのように思えますが、今回の「仕分け」作業によってコーヒーは備蓄リストから外されることになりそうなのです。

コーヒー大国としても知られるスイスでは、歴史的にコーヒーは「必要不可欠なもの」でしたが、それは「精神衛生上」必要不可欠なもので、生死を分けるような緊急事態には必要ないということになります。

緊急事態だからこそコーヒーを

もちろんコーヒーが緊急時には不要だという決定に納得がいかない人々もいます。コーヒー愛飲者はもちろん、備蓄に供給することで経済的な恩恵を受けてきたコーヒー生産者も今回の決定には賛同できません。

食料備蓄業者の「Réservesuisse」社は、コーヒーの抗酸化作用や、コーヒーに含まれているビタミンといったメリットがしっかりと検討されていないのではないかと主張しています。

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コーヒーを備蓄から外そうとするこの案は、今のところは草案で、11月の最終決定に向けてパブリックコメントなどのプロセスを経る予定です。そこではコーヒー愛好家からはもちろん、科学者からも「栄養」の観点を過度に重視したスイス政府の方針に疑問が投げかけられる可能性があります。

ある研究では、コーヒーを飲むことで注意力が向上し、人々の集団行動における参加意識を高めてくれることが明らかにされています。戦争や自然災害といった緊急事態では、集団行動の質が生死を分けると言っても過言ではありません。そのような状況を想定すれば、コーヒーの栄養以外の効果に目を向けることも必要といえるかもしれません。

憂鬱な月曜日の朝、コーヒー1杯を口にして心を落ち着かせる人も多いでしょう。ある意味「非常事態」ともいえる週のはじまりをコーヒーなしで過ごすなんてムリという多くの人のために、ぜひ慎重な検討をお願いしたいものですね。

コーヒーが会議の救世主に。カフェインがグループ作業を活発にすることがわかる

reference: sciencealert / written by なかしー

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