重力波なしで!? 中性子星合体の新しい観測方法を発見

space 2019/04/19
Credit: ESO
Point
■重力波の観測によらず、X線だけで中性子星の合体によりマグネターができるイベントを初めて観測
■マグネターは地磁気の千兆倍もの磁場を持つ特別な中性子星
■今後もX線の観測データの中から、中性子星の合体を見つける予定

2017年、中性子星の合体から発された重力波が世界で初めて観測された。マルチメッセンジャー天文学の幕開けだ。

70以上の望遠鏡が続々と、可視光、X線、ガンマ線などあらゆる波長でこの現象を観察した。

しかし今回の発見は、重力波による発見の助けを借りずに、中性子星合体のX線シグナルXT2を発見したというものだ。66億光年先の銀河で見つかったこの2つ目の中性子星合体から、重たい強力な磁場をもった中性子星、マグネターが生まれたのである。中性子星合体の新たな発見法を見つけたというこの論文は、「Nature」で発表されている。

A magnetar-powered X-ray transient as the aftermath of a binary neutron-star merger
https://www.nature.com/articles/s41586-019-1079-5

連星中性子星が合体すると、重力波を発するとともに様々なスペクトルの電磁波シグナルを放出する。合体が起きた向きと地球の位置関係によって、どの種類の電磁波が観測されるのかが変わってくるのだ。

そのため探すべき電磁波がわかれば、重力波が観測されていなくても連星中性子星の合体が検出できる。

今回のXT2の場合は、チャンドラX線宇宙望遠鏡が2015年、急激にX線の輝きが消えるのを観測している。観測当時は見逃されていたデータだ。

XT2シグナルの明るさと振る舞いは、2013年にネバダ大学のビン・ツァン博士の行った研究で予測された、中性子星の合体によってマグネターが生まれる際に放出されるX線と一致していた。

X線の観測結果から、合体の後、新たに生まれた高速回転するマグネターは燃え上がり、30分間にわたってX線で輝くと研究者たちは考えていた。しかし、直後にマグネターは粒子を放出することで回転力を失っていき、6.5時間の間にX線シグナルは弱くなり、最終的にチャンドラの視界から消えてしまった。

マグネターは中性子星の中でも特に磁場が強く、地球の地磁気の千兆倍もの磁力を持つ天体だ。大きさは20kmほどしかない。知られているのは30個あまりで数が少なく、天文学者たちにもこの天体について詳しいことは分かっていない。高速電波バーストの発信源が、マグネターであるという説もある。

実験的に作り出すこともできないため、詳しく知るには観測例を増やすしかないのだが、今回の発見は良い機会を提供したといえるだろう。

だが、発見されたX線は本当に中性子星の合体によるものだったのだろうか?単独の巨星が超新星爆発でマグネターを形成したということはないのだろうか?

研究チームいわく、今回の発見が中性子星の合体であることには自信があるという。シグナルが見つかったのが銀河の辺境であり、よく中性子星が見つかる場所であることが一つの理由だ。さらに、超新星爆発が起きたとすれば銀河の外側へと移動するはずだが、そのような移動は見られていない。

では、中性子星の合体だったとして、なぜ重力波が観測されていないのだろう?理由の一つはその時期である。LIGOが重力波を初観測したのは2017年だが、今回のイベントはその前に起こっている。また、66億光年という距離も観測を難しくしている原因だろう。

 

研究チームは現在、さらなる中性子星合体を求め、チャンドラのデータに取り組んでいる。中性子星合体イベントの観測例が増えれば、謎を解く鍵も増えるだろう。

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reference: Astronomy / written by SENPAI

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