危ない逃げて!化学物質を放出して仲間に危機を知らせる魚

animals_plants 2019/04/19
Photo credit: quinn.anya on VisualHunt.com / CC BY-SA
Point
■魚の発した化学信号である「騒乱キュー(Disturbance Cues)」は、逃走反応を引き起こす
■魚が騒乱キューを発するのは、周りに見知った魚がいるときだけであり、自発的な放出がなされていることがわかる
■信号を受ける側も、見知った魚の騒乱キューのみに反応していた

魚って意外に仲間想い。

魚は言葉こそしゃべらないが、コミュニケーション手段には事欠かないことが知られている。体表の色や、ダンスといった視覚的な信号で求婚や、縄張り争いをすることは有名だ。

そして魚は化学物質を発することでもコミュニケーションをとっている。今日の主役となるのは、「騒乱キュー(Disturbance Cues)」と呼ばれる化学信号だ。

実はこの騒乱キューの存在は、30年前から知られていた。騒乱キューにさらされると、魚は逃走反応を引き起こし、群れをきつくしたり、動きを止めたり、全速で逃げたりするようになる。ただ、この信号が捕食者による刺激で無条件に発するのか、魚が自発的に発しているのかは分かっていなかった。

新たな研究では、魚が騒乱キューを発するのは、仲間に危険を知らせるために自発的に行われていることがわかった。研究を行ったのはサスカチュワン大学。論文は「Journal of Animal Ecology」に掲載されている。

A novel alarm signal in aquatic prey: Familiar minnows coordinate group defences against predators through chemical disturbance cues
https://besjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/1365-2656.12986

研究に使われたのは、ファットヘッドミノーと呼ばれる群れをなす小魚。ヒメハヤの仲間である。

ヒメハヤ / credit: NYS Department of Environmental Conservation on Visualhunt.com / CC BY-NC-ND

実験では、バイオアッセイと呼ばれる検出方法で、ファットヘッドミノーがどのような条件で騒乱キューを発するのかが調べられた。

バイオアッセイとは、対象となる生物の反応で、ある物質の存在を確かめる方法である。お父さんの靴下を妹に嗅がせて反応を見るのも一種のバイオアッセイと呼んでも良いかもしれない。今回の場合は、危険を知らされる側の魚たちの反応で騒乱キューの有無を確認したということだ。

魚は、3つのグループに分けられた。一つはよく見知った魚の群れたちと一緒のグループ。もう一つは全く知らない魚たちと一緒にされたグループ。最後は、一人ぼっちにされたグループだ。これらのグループに対して捕食者による刺激を行い、騒乱キューの放出をうながして、バイオアッセイを行っている。

結果は驚きのものだった。魚は、見知った魚を選んで危険を知らせていたのだ。バイオアッセイの結果、見知った魚たちと一緒にいた魚から騒乱キューが検出され、孤独なものからは検出されなかったのである。

また、受け取る側も見知った魚からの騒乱キューに反応する傾向にあることがわかった。見知らぬ魚が発した騒乱キューや孤立した魚の騒乱キューには反応しなかったのだ。もしかして魚って人見知り?

この騒乱キューを構成している主要成分は尿に含まれる尿素であるとのこと。自発的に発していることから、びっくりしておもらししたわけではなさそうだ。面目は保たれたわけである。

 

どのように仲間の騒乱キューを見分けているのか気になるところだが、今後の研究で明らかになることを期待しよう。

reference: Eurek Alert! / written by SENPAI

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