人は舌でもニオイを嗅げる!?舌にも嗅覚受容体が存在

biology 2019/04/25
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Point
■ニオイに反応する嗅覚の受容体が「舌」にも存在していることが分かった
■鼻の嗅覚受容体と舌の味覚細胞は、相互に作用して「味覚システム」を成り立たせている
■たった1つの味覚細胞の中でさえ味覚と嗅覚の受容体が共存していた

舌でニオイを感じる…だと?

嗅覚の機能は鼻、味覚の機能は舌というのは常識だ。しかし新たな研究によって、それらの境界線が実はあいまいなものであることが示唆されている。

米国モネル化学感覚研究所の研究者らによれば、鼻の中にあるニオイに反応する嗅覚受容体が、舌の味覚細胞にも存在しているというのだ。

「味」を感じるプロセス

味覚は舌の上で、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味といった味の要素に関わる分子を処理する。私たちに味覚が備わっているのは、口の中にあるものの栄養素を瞬時に判断し、そこに有毒なものが含まれていないかを判断するためだ。

しかし、実はそのプロセスには嗅覚も大きく関わっている。もしあなたが鼻をつまんだ状態で「りんご」と「なし」を食べた場合、舌だけでそれらの違いを判断することは非常に難しいだろう。

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人間の脳は、口に入れたものの味やニオイ、そして他の感覚からの情報を統合することで、私たちが「味」として感じられるものを創り出しているのだ。

これまで、味覚からの情報と嗅覚からの情報は、分かれた信号で脳に到達するといった考え方が一般的だった。

しかしこれはあくまでも仮説に過ぎず、誰もその事実を確認していないことに気がついた研究者は、人間の味覚細胞の培養に着手した。

相互に作用する「嗅覚」と「味覚」

培養した細胞を検査したところ、人間の嗅覚受容体に存在している分子の多くがそこにあることが分かった。

次に彼らはカルシウムイメージング法を採用し、それらが嗅覚受容体と同様にニオイの分子に反応するのかを確認する作業へと移った。

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その結果、嗅覚受容体はおそらく、舌の上にある味覚受容体と互いに影響し合いながら「味覚システム」としての役割を担っていることが明らかとなった。

また、別の実験ではたった1つの味覚細胞の中でさえ、味覚と嗅覚の受容体が共存していることも分かった。

この発見は、味覚と嗅覚の密接な関係について私たちにより深い理解を与えてくれるものだ。それらは確かに別個のものではあるが、「五感」の中では唯一相互に作用しているものだといえる。

距離的にも近く、どちらも呼吸器である「口」と「鼻」は、私たちが思っている以上に上手な役割分担をしながら共存しているのかもしれない。

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reference: zmescience / written by なかしー

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