【超レアみ】宇宙年齢の何兆倍も長い半減期を持つ元素の放射線崩壊が観測される【世界初】

chemistry 2019/04/26
Credit: XENON1T
Point
■暗黒物質検出装置であるXENON1Tはキセノンと暗黒物質が相互作用した際に放つ光を検出するための装置
■キセノン124の半減期は宇宙の年齢よりも遥かに長いが、その超レアな放射線崩壊が検出された
■現在XENON1Tは精度をさらに上げるために改良中である

科学技術の発展により、奇跡の現象がとらえられた。

XENON Collaborationの研究チームが、宇宙年齢138億年よりも何兆倍も長い半減期を持つ、キセノンの放射性崩壊を検出に成功したのだ。

使われた機材は暗黒物質検出を目的としたもので、今回その検出精度の高さが示されたことになる。暗黒物質検出への期待はさらに高まるだろう。

暗黒物質への刺客!“XENON1T”の凄さ

キセノンは希ガス類に属する元素だ。「キセノンランプ」など、キセノンガス中での放電による発光を利用した電灯に使われている。

放射性同位体が複数存在するが、今回使われたキセノン124は非常に安定しており、半減期は1.8×1022年と宇宙の年齢よりも遥かに長い。そのため今回の観測はかなり幸運な出来事だったといえる。

放射性崩壊とは原子が放射線の放出をともなって崩壊する現象で、半減期とは、簡単に言うと同種の放射性同位体の量が半分になるのにかかる時間を指す。放射性崩壊自体はどの瞬間も起こる可能性はあるのだが、半減期が長いということはその可能性が極めて小さいということなのだ。

今回崩壊を検出したXENON1Tは、暗黒物質を見つけることがその最たる目的である。高純度な液体キセノン1300kgを、深い水の底1500mにひたして宇宙線から守っている。

もし暗黒物質がキセノンと反応すれば僅かな光が生まれるはずだ。そしてその僅かな光を検出できる感度が検出器には求められるため、キセノンに起こる相互作用ならどのようなものであれ検出できるのだ。

起こったのは二重の奇跡!

キセノン崩壊の証拠は、原子核内部の陽子が中性子に変化することで生み出されたものだ。多くの放射性崩壊は、一つの電子が核へと引き入れられることで起こる。

だが、キセノン原子内部の陽子が中性子になるためには、2つの電子を引き入れる必要があるのだ。これを二重電子捕獲という。

Credit: Wikipedia

核に飛び込んだ2つの電子は、もともと一番核に近い電子殻に存在していた電子だ。

その電子が核に飛び込むと2つの電子軌道に空きができ、他の電子が安定して基底状態に向かって崩壊するため、検出器で確認できる。

このような二重電子捕獲では、2つのレアな現象が同じタイミングで起こる必要がある。そのため、さらにレアな現象になったというわけだ。

もちろん、キセノンの放射性崩壊が直接検出されたのは世界初のことである。

「物質の最も基礎的な特性についての知識の最前線が広げられた素晴らしい発見である」と研究者は述べている。

論文は「Nature」で発表される予定だ。

 

XSENON1Tがデータを集めたのは、2016年から2018年にかけてであり、現在その運用はストップされている。検出器の感度を更に上げるためだ。感度は3倍に高まり、バックグラウンドノイズも減少させるということなので、その性能は一桁上がることになるだろう。次の発見が、暗黒物質であることを期待したい。

宇宙で初めて「放射性同位体分子」の一つを発見

reference: Phys.Org / written by SENPAI

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