顔認証システムで危険が及ぶ人々の傾向とは

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Point
■顔認証技術が発展した結果、トランスジェンダーの人々の身に危険が及ぶ可能性がある
■顔認証技術は、男性や白色人種よりも、女性や有色人種の識別が正確にできないことが多く、特に性的マイノリティーの人々の識別を苦手とする場合が多い
■技術の進歩に追いつくだけのルールづくりや倫理の醸成が求められる

勤怠管理やセキュリティ管理など、色々な場面で導入が進む顔認証技術。

まだまだ発達途中の技術だが、実は現段階ですでにさまざまな危険性が指摘されている。最悪の場合、人の死にさえ繋がるリスクもあるようだ…。

ワシントン大学でAIの研究を行うオズ・ケイェス氏が特に危惧しているのは、トランスジェンダーの人々に危険が及ぶ可能性だ。

導入が進む顔認証技術 トイレットペーパー泥棒を防ぐシステムまで

マンションなどの集合住宅の中には、入退場を顔認証技術で管理しているところもある。住民の顔をシステムが識別してドアを開閉することで、鍵を使わずに出入りができるだけでなく、不審者の進入を防ぐというものだ。

また、中国の公衆トイレの一部では、トイレットペーパー泥棒を防ぐため、顔認証トイレットペーパーディスペンサーを採用。ディスペンサーを3秒間見つめた利用者には、約60センチメートルのトイレットペーパーが与えられる仕組みだ。

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これを長いと思うか短いと思うかは、個人や状況次第だろうが、もし足りなければ追加のトイレットペーパーを手に入れるために9分ほど待たなければならない。「無駄にハイテクじゃ!?」とツッコみたくなるところだ。

人種や性別による不均衡 特にトランスジェンダーの人々の顔認証はされにくい!?

ケイェス氏によると、顔認証技術の中には、トランスジェンダーを含む性的マイノリティーの人々の識別を苦手とするものがあると指摘している。もし顔認証がうまく行えなかった場合、警察などに誤って通知が入るかもしれない。

最悪の場合、身に覚えのない罪で逮捕されたり、処分が与えられることだって考えられる。それに、銃社会であれば、誤って撃たれてしまう、なんてことも起きないとも限らない。ただ自分の家に入ろうとしただけ、用を足そうとしただけなのに…。

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一方で、マイクロソフトの顔認証技術を利用した企業の実績では、女性や有色人種と比べて、白人男性の方がはるかに正確に識別できるというデータもある。有色人種かつトランスジェンダーであった場合、果たしてどれほどの精度で認識されるのだろうか。

技術の進歩に追いつく倫理の醸成を

こうした背景から、ケイェス氏は顔認証技術の普及には真っ向から反対している。本当の意味で人々の役に立つ顔認証技術の活用法はこれまで1つも示されたことがなく、一見有益に見えたとしてもどれも他の技術で代替可能だというのだ。

世に現れて間もないように思われる顔認証技術だが、悪用されるには十分なほどに成熟している。問題は、技術の進歩に追いつくだけの、ルールづくりや倫理の醸成ができていないことだろう。

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人の暮らしをより良くするはずの技術が、基本的人権を侵害したのでは元も子もない。人種や性の偏見を減らした上で、透明度の高い方法で、慎重に普及を進める必要がある。

適切に扱うための「知性」を身につけてこその、テクノロジーだ。

AIが笑顔だけで人の性別を当てることができるように

reference: futurism / translated & text by まりえってぃ

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