民間伝承と奇妙な一致。穴の空いた28体の遺体がアラスカで発見される

history_archeology 2019/05/22
Credit:pixabay

Point

■2017年、アラスカ州にあるヌナレク村で6万点の遺物品と28体の遺体が発見された

■遺体には槍や矢による無数の穴が空いており、アラスカに伝わる民間伝承と奇妙に一致していた

■伝承は2人の子供の単なるダーツゲームから始まり、それが悪化して少年が属する村同士の争いへと発展する

2017年、アラスカ州にある「ヌナレク」という村からおよそ6万点に及ぶ遺物品と、28体の遺体が発見された。遺体はどれも女性や子供、老人のものばかりで、蔓状の縄で縛られた体には無数の穴が空いていたという。

一体、誰が何のために28人もの虐殺を行なったのだろうか。

スコットランド・アバディーン大学の研究チームによると、この事件はアラスカに古くから伝わる伝説「弓矢戦争」を証明する可能性があるようだ。

死体が語るもの

この村には「ユピク族」と呼ばれる人々が暮らしている。f古くからアラスカの地に住み続けている先住民だ。ヌナレク村から出土した遺体や遺物品もユピク族のものと思われる。

アバディーン大学研究チームのリック・クネヒト氏は「年代調査によって遺体や遺物が埋められたのは約400年前だと判明した」という。出土品の数々は人形や踊り用の木製マスク、草で編まれたカゴなどが含まれていた。

木製のマスク/Credit:nunalleq

地表を覆っていた永久凍土のおかげで、保存状態はきわめて良好だった。これらの遺物品を鑑みると、当時のユピク族の生活水準もかなり高いものだったことが推測される。

木製のマスク/Credit:nunalleq

発見された遺体はうつ伏せに寝かされており、背骨には槍か矢のようなもので無数に穴が空けられていた。もはや死人が犯人を語ることはないが、クネヒト氏は遺体を見て、ユピク族にまつわる恐ろしい伝承を思い出したそうだ。

「弓矢戦争」と呼ばれるその伝承は、何と子供の単なるダーツゲームから始まったのだという。

アラスカの伝説「弓矢戦争」とは

伝承のはじまりは1800年代初期のことだ。ロシア人の毛皮商がアラスカに旅をした際に、地元の住民からある恐ろしい話を聞いたそうだ。

2人の少年が骨の先を尖らしたダーツで仲良く遊んでいた。しかし不運なことに、少年の投げたダーツがもう1人の少年の片目に刺さってしまった。片目を失った少年の父親は激怒し、今度は相手の少年の両目を奪い取った。この復讐劇は徐々に過激さを増していき、各々の少年が属する村同士の抗争へと発展していく。村の人々は血で血を洗い、多くの命が奪われることになった。

伝承によると「弓矢戦争」は、隣村を急襲するために男たちが隊を組んで村に攻め入ったことで急展開する。

実は敵対する村はこの計画を事前に知っており、待ち伏せして弓矢で男たちをハチの巣にした。それから無防備の村へと行ってすべてを焼き払い、残された女や子供、老人たちを皆殺しにしたというのだ。

遺体と遺物品が出土した「ヌナレク村」/Credit:Sven Haakanson

何とも恐ろしい話だが、当時この話はフィクションとして片付けられた。というのも「ユピク族」は非常に穏やかな性格で知られており、争いの歴史などほとんど記録されていなかったからだ。

しかし今回掘り返された遺体のほとんどが女性や子供、それに老人だったことを考えると、不思議なほどに伝承とリンクしている。

もし「弓矢戦争」が本当に起こっていたとすれば?

ふだん穏やかな人間ほど、怒りの発露は激しいものとなるという。穏やかな「ユピク族」には、もしかすると闇の深い真実が隠されているのかもしれない。

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reference: zmesciencelivesciencenunalleq / written & text by くらのすけ

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