北洋の氷にガラスをぶちまけて温暖化を防ぐ壮大な計画が進行中

technology 2019/05/07
Credit: ANCHORAGE DAILY NEWS
Point
■ガラスのビーズを北洋の氷にぶちまけ、太陽光を50%も反射させて氷の融解を遅らせるアイデアが発案された
■これにより「世界の冷却装置」としての氷のはたらきを強めることで、地球温暖化に対抗することができる
■実現可能性については専門家から疑問の声が上がっている

いま地球温暖化によって、北洋の氷が解け、海面上昇などの問題が年々進行している。

しかしこの問題を、なんと「ガラス」で解決しようとする人々がいるという。

ガラスの粉が太陽光を反射

ガラスと氷の組み合わせと聞くと奇妙だが、実は前から提唱されている方法でもある。

具体的には、内部に空気層を含んだ微細なガラス球体を氷の上にぶちまけることで、氷の融解を遅らせ、地球温暖化の影響を最小限にとどめようとするアイデアで、「中空ガラスビーズ」と呼ばれている。

1970年代後半になって人工衛星による観察が可能になって以降、北洋の氷は小さくなり続けてきた。科学者たちはこれまで、そうした氷が「世界の冷却装置」として機能していることを指摘してきたが、氷の融解は止まらない。

そこでNPOグループである「Ice911」は、中空ガラスビーズを用いることで太陽光を反射させ、特に夏の氷の減少を防ごうとしている。

もちろんこれを実現させるためには非常に多くの量のガラスが必要となる。すると心配なのは生物への影響だが、仮にこれをウズラや小さな魚が体内に取り込んでも問題がないことは実証済みだ。

また、粉ほどの薄さでどの程度の効果があるのかも気になるところだが、なんと中空ガラスビーズは光の反射率を50%も高めてくれるとのこと。

実現可能性には疑問の声も

Credit: ANCHORAGE DAILY NEWS

この方法を提案したレスリー・フィールド氏は、アメリカ海洋大気庁(NOAA)の報告を参照しながら、次のように発言している。「地球を熱から守るシールドの95%は失われてしまいました。これは自然のプロセスに任せて元通りになるものではありません。人為的な策を用いて氷の融解を遅らせられれば、北極の氷を取り戻すことができます」

しかし、このアイデアの実現性に疑問を呈する研究者もいる。アラスカ大学フェアバンクス校の海洋学者セス・ダニエルソン氏は、「Ice911がやろうとしていることは素晴らしいのですが、よく練られた理論と実際の実施方法との間に隔たりを感じます」と述べている。

氷が存在している場所は風が強いため、ダニエルソン氏はそうした場所で上手にビーズを撒き散らすことは不可能であると考えているのだ。また、作戦実行の際に用いる船が排出する大量の温室効果ガスにより、かえって地球温暖化が進行してしまうとの指摘もある。

フィールド氏は、こうした専門家からの意見を参考にしており、彼らをチームに加えようとも画策している。そして、2022年までにこの計画を実行に移すつもりだ。

 

解決すべき問題は多く、実現に向けた道のりは長いかもしれない。しかし、気候変動が世界中の誰にとっても身近な問題である以上、成功したときのインパクトは絶大だ。彼女が率いるチームのこれからの動向に期待しよう。

「古代の農業」で砂漠化を止めた男性

reference: ANCHORAGE DAILY NEWS / written by なかしー

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