猛毒のはずのヒ素を呼吸して生きる細菌を太平洋で発見

biology 2019/05/08
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Point
■メキシコ沖の無酸素水域で、ヒ素を呼吸する細菌が発見される
■海でヒ素を呼吸する細菌が見つかったのはこれが初めて
■ヒ素呼吸を中心とした未知の代謝系が、海に存在することがわかった

ほとんどの生物にとって猛毒であるヒ素。しかしこのヒ素を糧とする、常識外れの生物がいるようだ。

太平洋メキシコ沖の無酸素水域にて、私たちにとっては毒物である「ヒ素」を呼吸して生きる細菌が発見された

研究はワシントン大学の研究チームによって行われ、「PNAS」で発表されている。

Complete arsenic-based respiratory cycle in the marine microbial communities of pelagic oxygen-deficient zones
https://www.pnas.org/content/early/2019/04/25/1818349116

地球外生命体の探索にもつながる発見

Credit: pixabay

実は過去の研究でも、酸素のない環境で窒素や硫黄に依存している海の生物や、ヒ素を呼吸する生物は知られていた。

しかし、海でヒ素を呼吸する細菌が発見されたのはこれが初めとなる。

研究チームはDNA解析の結果、ヒ素を元にした遺伝子伝達系を2つ特定することに成功。

この生物は、ヒ素を亜ヒ酸塩へと変化させることで、酸素が無い環境でもエネルギーを生み出しているという。

この化学反応は、酸素の欠乏する海の領域に生命がいる理由を説明するだけでなく、系外惑星における地球外生命体の探索にも役立つと考えられる。

もしかしたら異星の虫はそれほど酸素を必要としない可能性もあるだろう。今まで毒物としてしか認識されてこなかったヒ素の見方を、再定義する必要が出てくるかもしれない。

地球の無酸素時代の生き残り!?

今現在、海水のヒ素濃度は非常に薄い。よってこの細菌は、酸素どころかヒ素濃度が低い環境でも生きられるような遺伝子を持っていると考えられる。

また、そのような低濃度のヒ素に依存する生物が新しく発生したとは考えにくい。この細菌は、かつて地球上に酸素がほとんど無かった時代の生き残りなのだろう。

今後はこの生物が、もっと広い範囲で発見されることが期待されている。

 

海にはおそらく、このヒ素呼吸細菌を中心とした生命圏がある。そしてその事実は、地球を遠く離れた惑星で、ヒ素を中心として栄える世界の存在を示唆するものでもあるのだ。

地下5kmに生物が!地下世界に地表とは別の「巨大な生物圏」を発見

reference: Science Alert / written by SENPAI

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