宇宙の「冷たさ」から電力をつくる装置が発明される

technology 2019/05/09
Credit:depositphotos

Point

■太陽光ではなく、宇宙の冷たさを利用して電気を作る発電機が発明される

■これは地球表面と宇宙との温度差を利用して、地表から放出される熱を電力に変える仕組み

■今回得られた電力量は予想していた量を大きく下回っており、実用化にはまだ遠い

スタンフォード大学の研究チームは、宇宙の絶対零度を利用した電力の発電に成功したと発表した。地球と宇宙との温度差を利用し、地表から放出される熱を採取することで電力が作り出されるというものだ。

今回の実験で得られた電力は微量だったが、改良を重ねれば太陽光のない夜間の発電も可能になるという。

研究の詳細は、4月23日付けで「Applied Physics Letters」上に掲載されている。

Experimental demonstration of energy harvesting from the sky using the negative illumination effect of a semiconductor photodiode
https://aip.scitation.org/doi/10.1063/1.5089783

熱の放出を利用した発電

研究チームのシャンフィ・ファン氏によると、この発電機はソーラーパネルの仕組みと見事に対照的になっているという。

ソーラーパネルは外部から入って来る太陽光を利用して発電するが、日光がなければ発電できないという明確な欠点がある。

しかし今回の発電機は、太陽電池のように入射する放射線を利用するのではなく、地球と宇宙との温度差で放出される熱を利用する。

宇宙の絶対零度ー正確には3K(摂氏-270.15度)ーと地球表面との間には大きな温度差が見られる。そこでフォトダイオードの装置を空に向けると、宇宙との温度差で地表から出ていく熱を捕獲できるという理論だ。

これによってソーラーパネルの生み出すものと同種の電力が得られるという。

実用化への道のりは遠い

実験の成功にもかかわらず、得られた電力量は予想していたものを大きく下回る量だった。

当初の計算では夜間の発電も賄える分量の4ワット/平方メートルが得られると推測していたが、実際に得られたのは64ナノワット/平方メートルという微量の電力。

これはソーラーパネルが平均して100〜200ワット/平方メートルの電力量を生み出すことを考えれば、実用化には程遠いことが分かる。

Credit:phys.org

原因は地表から放出される熱を効率的に採取できたなかったためとのこと。しかし宇宙の冷たさから電力を直接的に作り出せると証明できたのは、非常に大きな進歩だろう。

夜が2週間も続く月面などで利用できれば、今後の宇宙ミッションにも役立つかもしれない。

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reference: phys.org / written & text by くらのすけ

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