世界一強力なレーザーがテスト稼働に成功! 超新星爆発さえシミュレーションできちゃう威力

technology 2019/05/10
Photo credit: flicker on Visualhunt

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■欧州連合が研究目的で建設している超強力レーザー3機のうち、ルーマニアに作られたものが10ペタワットの出力でテスト稼働した

■来年には、計画されている実際の実験が行われる予定

■超新星爆発時の重金属合成の研究や、ガンの陽子線治療の研究などが計画されている

欧州連合がとんでもないレーザーをつくったぞ。

欧州巨大科学プロジェクト、Extreme Light Infrastructure(ELI)で建設が行われている3機のレーザー施設。そのうちの一つ、ルーマニアの世界一強力なレーザーがテスト稼働に成功し、来年にも実験が行われる。

この超強力レーザーの出力は10ペタワット(1ペタワット=1千兆ワット)。これは太陽から降り注ぐ日光全体のおよそ10分の1というから途方もない出力だ。

10ペタワットは1000兆ワット相当の出力

現在科学者が考えているのは、このレーザーを使った新しいがん治療法の実験や、超新星爆発でできる重金属の合成をシミュレート実験だ。

10ペタワットの出力はつまり、1000兆ワットという意味である。一般的なレーザーポインターの出力0.005ワットと比較すると途方もない出力だ。また、アメリカ海軍がもっているドローン撃退用のレーザー兵器の出力でさえ6万ワットである。

レーザーの大きさは約60cm。危険なのでレーザーが発射される時、科学者たちは別の部屋にいるのだが、もし同じ部屋で観察したとすれば巨大な赤いレーザーを見ることができるだろう。

高エネルギーポンプレーザーの場合は緑色だ。60cmのレーザーを2mmに集中させることもできる。強力な出力で放射を受けた物質はたちどころに蒸発するだろう。

ELI-NP laser room. Credit: ELI-NP

気になるレーザーの利用目的とは

レーザー出力の増大によって、光と物体の相互作用の法則が根本的に変わってきた。レーザー光の影響のもとにおける荷電粒子の力学では、相対論的効果が優勢になるためだ。

この変化によって、X線やガンマ線、高エネルギー粒子を生み出す新たな方法が開発されるだろう。超新星爆発時の環境をシミュレーションすることもできる。重金属がどのようにして形成されたのかも解明できるだろう。

しかし、それは応用法のほんの一部に過ぎない。ガンの陽子線治療や放射性廃棄物の処理法の研究にも使えるし、貨物船のコンテナに危険物や違法貨物がないか調べることにも使えるのだ。

またこの10ペタワットの出力をさらに上げることもできるという。2つの10ペタワットレーザーを組み合わせることで、1センチ四方あたり1023ワットまで高めることができる計算だ。ちなみに現状は1015ワットである。

レーザーが設置されるのは、ルーマニア、ハンガリー、チェコの3カ国だが、4つ目のレーザーの計画もある。しかもその出力はルーマニアのものよりも遥かに大きくなる予定だ。

 

物理学、生物学、医学、物質科学などあらゆる分野での新しい実験が行える強力なレーザー装置。デススターを思わせる能力を持ちながら、その目的は軍事利用ではなく平和利用だ。レーザーよ、フォースとともにあらんことを。

空気から音を生み出す!レーザー光だけで特定の人に音を伝える新技術

reference: Futurism, Extreme Tech / written by SENPAI

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