日本の「カゴメ」が由来! 革新的な量子電子材料が発見される

science_technology 2018/03/20
Credit: MIT

「籠目(かごめ)」は日本の竹細工などで作られる格子状のカゴの網目で、日本人にとっても馴染みが深い模様でしょう。

この籠目にヒントを得て作られた材料が、量子効果を持つ量子電子材料として新しく発見されました。金属などの伝導体は、原子レベルで籠目パターンを作ることができ、それによってエキゾチックな電子状態を示せると言われていました。エキゾチックな電子状態とは、対称性がやぶれた電子状態のこと。高い温度でも電気抵抗をゼロにでき、リニアモーターカーなどにも応用されている高温超電導などで見られます。

Natureに掲載された論文によると、鉄とスズの原子の籠目層で作られた、電気を通す結晶である「籠目金属」が作られたのは初めて。この結晶中の籠目層に電流を流すと、原子が作る三角の並びに沿って、電子が量子的な振る舞いをします。電子は籠目の格子をまっすぐ通過せずに、曲がったり内部で戻ったりするのです。

この振る舞いは、トンネル効果の3次元バージョンとでも言うべきもので、エネルギーの喪失なしに、円周状や曲がった経路を曲がりながら進むことが出来ます。将来的には、電気抵抗ゼロの他にマイスナー効果などももたらす超電導にかわって、電気抵抗ゼロのみの物質「完全導体」が実現するはずです。

Credit: Pixabay

今回の研究での新たな試みは、磁性を材料の中に持たせたことです。これにより、量子行動を生み出すと思われる「地磁気の100万倍の磁界」を作り出す必要がなくなりました

籠目金属をつくるには、まず内部に磁性を持たせるために、鉄とスズを一緒に砕き、炉内で熱します。そして、鉄とスズが籠目パターンを作りやすい750℃の温度で結晶が生み出されました。それから、結晶を氷水に浸して、室温で構造を安定させます。二種類の原子をつかうことで、籠目の隙間を埋めて安定させたのです。籠目の中の原子の配置は、鉄が隅の三角形に、スズが大きな六角形を占めます。

電子の振る舞いは光電効果をしらべることで観測した結果、二次元の電子と一致する電子スペクトルが得られました。電子の帯を詳しく見てみると、通常では考えられないものが観測されました。磁性材料内で電子が質量を持つディラック粒子として振る舞っていたのです。ディラック粒子は、特殊な条件下において、物質中で形式的に質量が零の粒子としてふるまうことが知られています。

磁力と位相を結びつけるこの材料特異的な能力が、新しい現象を生み出していると考えられます。

 

via: MIT News / translated & text by Nazology staff

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