核融合反応になぜかマヨネーズが切り札として使われる

chemistry 2019/05/09
Credit:futurism

Point

■アメリカ・リーハイ大学は、核融合実験におけるシミュレーションとして「マヨネーズ」を用いている

■これは核反応時に、ガスと金属の密度違いにより生じる「不安定性」のメカニズムを解明するため

■ガスのような気体では不安定化の動きが視覚的に観察できず、一番近い低温状態のマヨネーズが選ばれた

核融合反応の鍵はマヨにあり!?

アメリカ・リーハイ大学の研究チームは、核融合実験における問題克服の材料として「マヨネーズ」を用いている。この不思議な組み合わせはどのように誕生したのだろうか。

研究の詳細は、5月8日付けで「Physical Review」に掲載されている。

Rayleigh-Taylor-instability experiments with elastic-plastic materials
https://journals.aps.org/pre/abstract/10.1103/PhysRevE.99.053104

核融合反応って?

核融合反応を起こすには、たくさんの原子を長く高温で熱する必要がある。ところが高温の原子は激しく暴れ、容器の壁にぶつかってしまう。これでは先に容器が壊れてしまい、原子を閉じ込められない。

そこで考案されたのが、大別して「磁場閉じ込め方式」と「慣性閉じ込め方式」の2つだ。

今回チームが採用した「慣性閉じ込め方式」は、周囲からハイパワー・レーザーを当てることで、核融合を起こす原子のかたまりを非常に狭い領域に圧縮する方法だ。モノがその場でとどまろうとする「慣性の力」によって、圧縮された原子たちは、一瞬だけその場にとどまってくれる。

このように高い密度で閉じ込めることで、核融合反応がたくさん起こることが期待できるのだ。

「慣性閉じ込め方式」のプロセス /Credit:ja.wikipedia

具体的には、燃料となるガスをエンドウ豆サイズの金属球の中に封入しガスを圧縮するのだが、核融合反応に至る前に金属球が爆発してしまうことがある。これはガスと金属における密度の違いが原因で生じる不安定現象だ。

このような密度違いで起きる現象は「レイリー・テイラー不安定性」と呼ばれている。これは2つの流体が接する面上で密度違いにより微小な凹凸ができた時、その起伏が成長することで動きが不安定化する現象である。

例えばコーヒーにミルクを注いだときに、ミルクが白い靄のように流動するのがそれだ。今回の核融合の場合は、その不安定化が、ガスと金属球との間で生じている。

しかし不安定化を検証するにも、ガスのような気体ではどのような反応が生じているのか詳しく観察することができなかった。そこで視覚的な解明を可能にする試みとして採用されたのが「マヨネーズ」だ。

「マヨネーズ・パラメーター」により不安定化のメカニズム解明!

不安定化のメカニズム解明のため、チームは高温・高圧化におけるガスの動きに近い状態を「目に見える形で」模造する必要があった。

そしてチームがたどり着いた答えが、低温状態のマヨネーズだ。ガスが核融合するときの動きに最も近い固体が、低温状態のマヨネーズなのだという。

実験ではヘルマン・マヨネーズをプレキシガラスの中に入れ、数種類の加速回転を加えて各々の反応を調べた。その際、ハイスピードカメラとイメージ処理システムを用いて、マヨの動きを撮影しパラメーターを算出している。

その「マヨパラ」がこちら。

マヨネーズ・パラメーター/Credit: Arindam Banerjee

これにより、不安定化は最初期に生じる「振れ幅(山なりの大きさ)」と「波長(各波における頂点間の距離)」の大きさに影響することが判明した。つまり最初の振れ幅が小さくて波長が長ければ、その後の動きは比較的安定化するというわけだ。

マヨパラの成果はまだ実際の核融合反応に応用されていないが、不安定現象を視覚化することで今後の改良にも役立ちそうだ。

 

この成果を元に完成した核が悪用されてマヨが戦犯扱いを受け、マヨラーが魔女狩りならぬマヨ狩りに…なんてことにならなければ良いのだが。

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reference: futurismphys.org / written  by くらのすけ

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