重力波の記憶は宇宙に刻み込まれているという説

space 2019/05/12
Credit: Depositphotos

Point

■重力波が通過した後に、その痕跡が記憶のように長期間残っていることが理論研究で示される

■その変化を実際に検出するのはとても難しいが、いくつか方法が提唱されている

■重力波検出装置の鏡の位置の変化や、原子時計のずれ、素粒子の速度と方向の変化を調べることで検出できるかも

あちこちに重力波の記憶が…と思うとロマンしかない。

昨今、やっと人類が検出できるようになった重力波の痕跡。「Physical Review D」で発表された理論によると、この重力波の痕跡が宇宙のあちこちに残っているという。

その痕跡を「persistent gravitational wave observables(持続性重力波観測量)」と呼ぶ。これは、ただでさえ弱い重力波よりもさらにわずかな変化だが、長く残るものなのだそうだ。

Persistent gravitational wave observables: General framework
https://journals.aps.org/prd/abstract/10.1103/PhysRevD.99.084044

米国の巨大観測機であるレーザー干渉計重力波天文台(LIGO)は、地球を通過する重力波を年中無休で監視している。新たな研究によると、重力波は通過した後でも検出に役立つ多くの 「記憶」 を残している可能性があるという。

そこで論文内では、その検出が可能な3つの方法が提示されている。

1つ目は、重力波検出装置のレーザーを反射する「鏡」を調べることだ。重力波検出装置では、レーザーを2方向に分けて反射させ、戻ってきたレーザーを干渉させることで違いを調べている。違いが大きいということは重力波が通過したということだ。この方法の感度を上げることで、今では1週間に1回の割合で重力波が検出できるようになっている。

重力波を起こすイベントはブラックホールや中性子星の衝突であり、地球を遥かに離れた場所で起こっているため、検出できる波はとても小さい。なので長期に残される変化が証明されることはほとんどない。

しかし、検出器の鏡は絶えず精密な方法で検査されている。十分強力な重力波が通過すれば、違いを見つけられるかもしれない。研究者たちは数理モデルを使って、重力波が通過した後、鏡がどれだけ変化するかを予測するのだ。

Credit: Max Planck Institute for Gravitational Physics

2つ目は原子時計を使う方法だ。距離を離して設置した原子時計は、重力波が通過した際に、異なった経験をするはずだ。2つの時計で遅延を経験するだろうが、その程度は違うはずである。

もう一つの方法は、回転する素粒子を使う方法。素粒子の振る舞いは重力波の通過前と後では違うものになるはずだ。よって、粒子の速度と回転方向を重力波の到達前後で調べれば良い。そこで見られる振る舞いの違いが、重力波の記憶なのである。

今回の研究は理論研究ではあるが、今後重力波を研究する際の新たな視点を提供してくれている。

 

重力は距離の二乗に反比例して弱くなるが、無限遠まで到達できる力だ。重力波が通過するとその記憶が残るとすれば、宇宙の任意の点すべてに、過去から現在に渡って到達したすべての重力波の記憶が存在するということなりはしまいか?そう考えると深くて面白い研究である。

「2100年までに宇宙のすべてが解明される」物理学者ミチオ・カク氏が海外掲示板で回答

reference: Live Science / written by SENPAI

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