仲間同士で妨害音波を出しまくって仲間を混乱させるコウモリがいる

animals_plants 2019/05/18
メキシコ・オヒキコウモリ/Credit: Ann Froschauer / U.S. Fish and Wildlife Service

Point

■「メキシコ・オヒキコウモリ」は獲物を競って仲間同士で妨害音を出し合う

■「音響妨害」はコウモリの超音波機能として「エコロケーション」「コミュニケーション」に次ぐ第3の機能となった

■音響妨害はどちらかが諦めるまで続けられ、ほぼ100パーセントの確率で成功する

コウモリ「あっちに食べ物あるらしいよ(あるとは言ってない)」

アメリカ・ウェイクフォレスト大学の研究によると、メキシコに生息する「メキシコ・オヒキコウモリ」は獲物を競って仲間同士で邪魔しあう性質を持っているそうだ。

その手段としてコウモリは超音波を駆使して、仲間を混乱させているという。

まさに食料をかけた騙し合い合戦。コウモリ界にもライアー・ゲームがあったのか…

研究の詳細は、2014年に「journal Science」に公開された。

Bats jamming bats: Food competition through sonar interference
https://science.sciencemag.org/content/346/6210/745.abstract

コウモリの超音波の第3機能

研究主任のアーロン・コーコラン氏によると、この発見はコウモリが自らの超音波能力を「妨害行為」に用いることを示した初めての例とのこと。

小型のコウモリは視覚が発達していないため、超音波の反響を使って場所や獲物の位置確認を行なっている。これを「エコロケーション(反響定位)」と呼んでいる。

メキシコ・オヒキコウモリ/Credit:en.wikipedia

大型のコウモリは視力が発達しているので超音波は用いないそうだ。

これまでコウモリが用いる超音波の機能は2パターンのみだと思われていた。1つ目が先ほどの「エコロケーション」、2つ目が「コミュニケーション」。そして3つ目として新たに「音響妨害」が加わったというわけだ。

妨害音には適切なタイミングと周波数が必要

これは現在でもメキシコ・オヒキコウモリにだけ見つかっている特性らしく、他のコウモリが同じことをしているかどうかは分からない。

しかも妨害行為はかなり壮絶を極めているようだ。

メキシコ・オヒキコウモリは獲物を捉えに行くライバルの音を聞くと、すぐさま妨害エコーを発して混乱させる。すると今度はやられた側のコウモリが妨害をしかえす。

これが延々と繰り返され、どちらか一方が諦めるまで続くというのだ。まさに騙し合いゲームと言える。

Credit:pixabay

研究チームは妨害音の効果を調べるため、カメラと超音波マイクを用いて獲物を探すメキシコ・オヒキコウモリの動きを記録。それによってコウモリが発した音から飛行ルートをデータ上に再現することに成功した。

その結果、コウモリたちは妨害されると、ほぼ100パーセントの確率で獲物を取り逃がすことが明らかとなっている。

またチームは釣り糸で吊るした蛾をエサにしてコウモリをおびき寄せ、人工的に超音波スピーカーを使って妨害音の効果を試してみた。すると妨害音は適切なタイミングと周波数で発されたときにのみコウモリを混乱させることができたのだ。

つまり、エコロケーションやコミュニケーションとは違う「音響妨害」としての超音波の存在が証明されたというわけだ。

 

…と同時にメキシコ・コウモリ界の治安の悪さも証明されたようだ。

蛾の羽の長い「しっぽ」は敵からの「音響探知」も避ける効果があると判明

reference: sci-news / written & text by くらのすけ

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