Point
■中国の研究チームが心臓の出血を一瞬で止める「バイオ接着剤」を開発
■接着剤は主に水とゼラチンで構成され、紫外線が照射されるとすぐに固まる性質を持つ
■研究者は今後「人間にも使用できる」と希望を持っている
将来、手術時間が大幅に短縮されるかもしれない。
術後の心臓からの出血や、コントロール不可能な出血を減らすことによるショックは、心臓のオペに関する死因の大部分を占めているものだ。
心臓や動脈の傷を塞ぐことは容易ではない。なぜならそこに接着するものは、高い血圧や鼓動による動きに耐えうる強さを持っていなければならないからだ。
そこで中国の浙江大学の研究チームが、画期的な「バイオ接着剤」を開発した。研究は『Nature』にて発表されている。
A strongly adhesive hemostatic hydrogel for the repair of arterial and heart bleeds
紫外線で接着剤が硬化
実験で使われたのはブタの心臓だ。そこに光によって硬化する接着剤を使用したところ、主な死因となる出血をなんと30秒に満たない時間で止めてみせた。研究者らは、これが人間にも応用できると考えている。
接着剤の成分は人の柔らかな体組織に似せて作られており、主に水とゼラチンから構成される。そこに紫外線が照射されるとすぐにゴムのように固まり、耐水性のあるシールが出来上がるという。
実験の中で研究者らはブタの心臓4つに針で穴を開けて出血させ、そこにバイオ接着剤を貼り付けた。傷が癒えると接着剤は自然と体に溶け込んでいき、境目を縫合する必要もなかったと報告されている。
実験動画は以下だ。接着剤を塗り紫外線を当てると、立ちどころに出血が止まっているがわかる。血などが苦手な方はご注意いただきたい。