オタク大勝利。妄想や白昼夢が「幸福感」につながる2つの条件が研究で明らかに

culture 2019/05/18
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Point

■自分の経験を批判的に見ない人の場合、白昼夢にふけることが幸福感を向上させる

■アニメやゲームの消費(オタク消費)の多い人の場合も、白昼夢にふけることが幸福感を向上させることが分かった

結論:オタクはみんなハッピー。

日本の研究者者が白昼夢が幸福感につながる条件を明らかにした。その条件は、マインドフルネスとオタク消費がポイントだという。

研究を行ったのは、広島大学大学院総合科学研究科の杉浦義典准教授と、日本学術振興会の杉浦知子特別研究員の研究グループだ。論文は5月6日付けで「Journal of Happiness Studies」に掲載されている。

Relation Between Daydreaming and Well-Being: Moderating Effects of Otaku Contents and Mindfulness
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs10902-019-00123-9

白昼夢ってなんだ?

そもそも白昼夢とは何を指すのだろうか。プレスリリース内では、「ふと気がつくと心ここにあらずの状態であったり、目の前のこととは関係のないことを空想していたりする状態」と説明されている。

オタク諸君はピンとくると思うが、いわば我々の「妄想」と大体似た意味だろう。

しかし実は、今回と逆の結果を示した先行研究がある。2010年のハーバード大の研究によると、人は起きている時間の約50%は白昼夢にふけっており、さらにその間は幸福感が損なわれるというのだ。

ここで恐らく大半のオタクは「やめて」と思ったのではないだろうか。起床時間の半分を占める状態が不幸を導くなんて、そんな悲しいことは避けたい。

その思いに答えてくれたのが、今回の研究なのだ。

白昼夢にふけっている時の脳の状態

人が白昼夢にふけっているときは、高次の認知活動を担う脳の領域が活動しているといわれている。白昼夢の時に働く脳の部位と、自分の経験を思い出したり、将来の計画を立てるときに活動する脳の部位とは重複が大きいらしい。

白昼夢は高次の認知活動だが、人間の脳には高次の認知活動をさらに高いレベルからモニターしてコントロールする働きがある。これはメタ認知と呼ばれている。

このメタ認知能力が高いといわれるのが、冒頭の条件に挙げられた「マインドフルネスの傾向の高い人」だ。

マインドフルネスとは、「瞑想」のような行為を指すことも多いが、今回は「今現在において起こっている経験に注意を向ける心理的な精神状態」として触れている。この精神状態が実現できれば、何かに集中でなかったとしても自分を責めることなく現状を受け入れ、淡々ともとの活動に注意を戻すことができる。

一方オタクについても研究者は、「自分の好きなアニメやゲームの登場人物と空想上で恋愛を楽しんだりすることが知られており、白昼夢の達人である」と記述している。…オタクに好意的すぎて逆に不安になってくる。

実験結果はオタクコンテンツ無双?

論文は2つの研究からなっている。

1つ目の研究では、日本人成人の男女(20歳〜59歳)800人を対象にインターネット調査を行った。質問したのは、白昼夢の頻度、幸福感、マインドフルネスの程度、アニメやゲームにどの程度お金を費やしているか(オタク消費)だ。

その結果、マインドフルネスあるいはオタク消費の多い人では、白昼夢の頻度が多いほど幸福感が高いことが分かった。これは2010年の先行研究に一部反する結果だろう。

研究で使用されたどこか懐かしいイラスト / Credit: hiroshima-u

第2の研究では、上記アニメのイラストを見せたあとに「白昼夢の頻度」と「幸福感」について質問に答えてもらった。するとアニメのイラストを見せた後のほうが、白昼夢の頻度が高いほど幸福感が高いことが分かった。

この手法は心理学でいう「プライミング」という方法で、一瞬目に入った情報がその人が気づかぬうちにその後の認知に影響する現象を指す。

つまり、質問の内容とは関係のないイラストが気づかぬうちに、白昼夢の経験を思い出して質問に答えるときに影響したと考えられるのだ。

これはそのまま「オタクコンテンツが幸福感にプラスの影響を与えた」と取れる。頭の中で何かを考えるときは、批判的な思考から逃れるための現実逃避の手段がある程度必要なのかもしれない。

つまり白昼夢が幸福感につながる2つの条件とは、1つは自分を批判的に見ない傾向の人で、マインドフルネスの高い人。そして2つ目は、自分の好きなアニメやゲームの登場人物と空想上で恋愛を楽しんだりできるオタクな人なのだ。

ちなみに研究者は、白昼夢がアニメやゲームなどを楽しむ作法として海外に「輸出」できると主張している。「瞑想」と同じノリで「アニメ妄想」講座が開かれたりする未来が見えるような見たくないような。

とにかく妄想が多いオタクは、妄想するほど幸福度が上がる可能性があるということで、かなり朗報な研究なのは間違いない。

1日4時間以上空想が止まらない症状「過剰空想」とは

reference: research-er / written by Nazology staff

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