「地球を太陽から遠ざける」という案が発表される 太陽の死を逃れる目的

technology 2019/05/17
Credit: NASA

Point

■約50億年後に始まる太陽の死に備えて、地球の軌道を安全な距離まで広げる案が浮上

■現在の標準的な宇宙飛行テクノロジーに基づいて試算すると、どの方法も現実離れしている

■火星に入植し、住める状態に変え、人々を徐々に移住させる案のほうが、現時点では現実的

今からおよそ50億年後に、太陽は寿命を迎える。急速に膨張し、赤色巨星へと進化した太陽は、水星や金星を呑み込んでしまう。そして、このままでは地球も同じだ。

遠い未来の話ではあるが、その時地球に残された人類には、絶滅を避けるための計画が必要だ。

多くの人がまず思いつくのが、他の惑星に移住するというアイディアだろう。ところが、スコットランドのグラスゴー大学で宇宙工学を研究するマッテオ・セリオッティ氏によると、入念に計画すれば、地球の軌道を太陽の爆発が届かない安全な距離(例えば、現在の軌道を1.5倍広げた火星の軌道)まで遠ざけることが可能なのだそう。一体どうやって…。

3,000億機のロケットで、わずかに残った地球を運搬

セリオッティ氏は、現在の標準的な宇宙飛行テクノロジーに基づいて試算を実施。

その結果、米スペースX社のFalcon Heavyロケットを使って地球を火星の軌道まで移動させるには、十分な数のロケットを作るのに地球全体の質量の85パーセントに相当する材料が必要なことが判明した。Falcon Heavyは、現時点でもっとも優れた宇宙飛行用の大型ロケットの一つだ。

Falcon Heavyロケット / Credit: SpaceX

完成した3,000億機のロケットで、残された15パーセントの地球を運ぶわけだ。どう考えたって現実的ではない。

他にも、核爆弾や近くを通る惑星を使って、地球の軌道を移動させるという案もあるが、これらも現実離れしている。

イオンエンジンやレーザー光で地球を「弾き飛ばす」!?

代わりにセリオッティ氏が提案しているのが、電気推進などを用いて、地球を太陽から「弾き飛ばす」というアイディアだ。

特に、電気推進を採用したロケットエンジンの一つであるイオンエンジンは、マイクロ波を使って生成したプラズマ状イオンを加速・噴射することで推力を得る。地球の軌道の後ろにイオンエンジンを仕掛けて着火することで、地球の軌道を広げることができるかもしれない。

問題は、秒速40キロメートルの速さで推進する必要があり、そのためには地球全体の質量の13パーセントを使って残りの87%を動かさなければならないということだ。

では、レーザー光などの光の力を利用するのはどうだろうか? 必要な動力は太陽から得られるので、地球の質量が消費される心配もない。セリオッティ氏は、光の活用こそが、成功の鍵だと考えている。

レーザー技術は年々上がっている。最近では10ペタワット出力のレーザーがテスト稼働したニュースもあった。これは超新星爆発がシミュレーションできるほどの出力だ。

しかし結局、地球そのものを動かすことの難しさに比べれば、お隣の火星に入植し、住める状態に変え、人々を徐々に移住させるほうが現実的という気がしないでもない。

Credit: pixabay

いずれにしても、大掛かりな準備になることは間違いない。「まだまだ先のこと」なんて手をこまねいていては、50億年なんて宇宙規模ではあっという間に過ぎてしまうのだ。

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reference: futurism, theconversation / written by まりえってぃ

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