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手が一瞬で膨れる不思議な実験のヒミツがこちら

2021.10.07 Thursday

2019.07.03 Wednesday

梅干しから生えた人工物のような「結晶」!? Twitterで話題のナゾを理科の先生に聞いてみた!【追記アリ】

うわっ、手が膨れて瓶を満たしていくぞ!

この動画は「NurdRage」によりYou Tubeに投稿されたものを海外メディア「DayliMail」が取り上げたものだ。

一見グロ動画にも見えるこの動画、一体何が起こっているのだろうか?

動画の始まりは、鍋に浸けていた瓶を男性が取り出すシーンだ。瓶の中には白く濁った液体が満たされている。

そして、男性は手に何か粉の様なものを付ける。

その状態で、液体に手を浸けると…

なんとみるみる手が膨れていってしまう。あばばばばば!

膨れた手はすっかり瓶の中を満たして、固まってしまった。瓶を小突いても、中身がこぼれることもない。まさか本当にグロ画像では?

しかし、手はあっさり瓶から引き抜かれた。液体はシャーベット上に固まっており、手でほぐすと簡単に崩れるが、もう液体ではないようだ。

一体何だったの?

不可解な現象にも思えるが、もちろんこれには全て化学現象として説明をつけることができる。以下でその解説をしていこう。

私ってば溶けすぎ!? 過飽和状態とは?

この手が膨れる動画で起こっている現象はなんだろうか?

これについて詳しく説明している動画が「Home Science」によりYou Tubeに投稿されているので、そちらを参考にしながら解説していこう。

まず動画に映るうっすら白く濁った液体はなんなのかというと、これは酢酸ナトリウム三水和物の過飽和溶液だ。

酢酸ナトリウムというのは、酢酸(酢)と重曹を混ぜて作ることが可能な化学物質だ。キッチンで手に入るものの混合物で、危険な化学物質ではない。

何か物質を液体に溶かす場合、これ以上は溶けないという飽和濃度が決まっている。しかし、熱いお湯などで溶かすと通常の飽和濃度を超えて多くの量を溶かすことできるようになる。コーヒーに砂糖を溶かす場合、熱い方が溶けやすいのはそのためだ。

この状態を過飽和状態という。

まずはこの材料をじっくり煮込んで、酢酸ナトリウム三水和物の過飽和溶液を作る。

過飽和は不安定な状態なので、通常は温度が下がってくると余計に溶けていた分はすぐに析出して結晶へ戻ってしまう。コーヒーが冷めると、底に溶けた砂糖がザラザラと出てきてしまうのがこの状態だ。

ところが、酢酸ナトリウム三水和物は非常に過飽和状態が安定しやすい物質で、80度以上の温度で溶かすと安定的な過飽和状態を作ることができる。この安定状態というのは、ゆっくりと温度を下げていくと、溶けた分が析出せずに維持できる。

コーヒーは冷めればすぐに砂糖が結晶に戻ってしまうが、酢酸ナトリウム三水和物の溶液はそれが起こらないのだ。

酢酸ナトリウム三水和物は通常58度が融解温度になるので、この温度以下になると結晶に戻るはずなのだが、上記の手順で過飽和状態からゆっくり温度を下げると常温なのに結晶化しない状態を作ることができる。これを過冷却という。

この状態の溶液は、刺激によって一気に結晶化してしまう。

酢酸ナトリウムの場合、種となる固形の酢酸ナトリウムを溶液に入れると、それを核にして一気に結晶化が始まる。

鍋に残った固形化した酢酸ナトリウムをこそぎ落として、それを冷ました溶液に浸けると…

それを核にしてどんどんと結晶化が進んでいく。お〜、キレイ。

これは、固まった酢酸ナトリウムの上に液を垂らしていくことでも、同じ様にどんどん結晶化していってしまう。

なんだか不適切なものにも見えてくるけれど、他意はないはずだ…。

ちなみに最初の動画では何か手に粉を付けていたが、それが酢酸ナトリウムだ。種を手につけたので、結晶化は手の形を維持した状態で広がり、それがまるで手が膨れ上がっているように見えたのだ。

以上が、動画の中で起こった一連の化学反応である。

危険はなさそうだが、溶液の濃度と温度の調節など、真似してやろうとすると意外と同じような反応を起こすことは難しいかもしれない。

不思議実験セット「さわった瞬間 水が氷る!」をやってみた

reference:dailymail,sekatsu-kagaku,toray-sf/written by KAIN

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