1万年前の「ガム」がスカンジナビア半島で発見! 起源や交流が明らかに

history_archeology 2019/05/21
Credit: Kashuba et al. 2019

Point

■1万年前のガムから古代人のDNAが回収され、スカンジナビア半島の人々の起源と交流が明らかになった

■スカンジナビア半島に移動してきた民族間で結ばれたカップルがいたこともわかった

■ガムの噛み跡には子供のものもあった

ガムから人々の起源や暮らしがわかるとは…。

スカンジナビア半島の遺跡からなんと1万年前の「ガム」が発見され、古代人のDNAが回収された。そこから明らかになってきたのは、スカンジナビア半島の人々の起源と交流だ。

Ancient DNA from mastics solidifies connection between material culture and genetics of mesolithic hunter–gatherers in Scandinavia
https://www.nature.com/articles/s42003-019-0399-1

遺跡から発見されたのは樺の木の「ピッチ」と呼ばれる樹脂。当時のスカンジナビア半島の人々は、「ピッチ」をガムのように噛んで柔らかくしてから、石槍を作るときの接着剤として使っていたと考えられる。

論文Fig1a(ガムの画像) / Credit: springernature

このピッチから回収されたのは、女性2人と男性1人のDNAだ。これはスカンジナビア最古のDNAであり、氷河期の後に人類が移動した様子を明らかにする手がかりでもある。

スカンジナビア半島の人々の起源として、西ヨーロッパから来たグループとロシアから来たグループがあると考えられている。しかし石器の作り方には各グループ特徴が違う。

たとえば、ロシアから来た人々は石槍などの石器を作るときに「押圧剥離」と呼ばれる方法で石のカケラを剥離していた。ところが次第に、西ヨーロッパから来た人々もこの押圧剥離の方法を使うようになった。つまり、道具の作り方について2グループ間で交流があったというわけだ。

複合材ブレードの作り方 / Credit: Kashuba et al. 2019

さらに今回のDNA解析では道具以外の交流もみられ、結ばれたカップルがいたこともわかった。ピッチから発見された3人のDNAを古代人のDNAデータベースと照合したところ「スカンジナビアの狩猟採集民族(Scandinavian Hunter-Gatherers)」と呼ばれる古代民族と近い関係にあることがわかったのだ。

このDNAには女性のものがあったが、ピッチの噛み跡には子供のものもあった。このことから、男の仕事だと思われていた石器づくりを女性や子供も行っていたということもわかった。昔から子供たちも大人の手伝いをしていたか、それとも小さな石器を作っておままごとをしていたのかもしれない。

今回の研究では「ピッチ」からDNAが回収できたが、別の研究では粘土製のパイプからDNAが回収されている。これまでは骨を中心にDNAを探していたが、骨以外からもDNAを得られることが示されたのだ。

樺の木の「ピッチ」も粘土製のパイプも、ぱっと見には口にするようなものとは思えない。そのへんに落ちている石ころも実は古代人が口にしていたもので、歴史を紐解く大事な手がかりとなるかもしれない。

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reference: arstechnica / written by かどや

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