群れで泳いでいた魚をそのまま閉じ込めた5千万年前の化石を発見

animals_plants 2019/06/01
Credit: Mizumoto, Miyata, and Pratt /Proceedings of the Royal Society B

Point

■小さな魚が群れをつくって泳ぐ姿が閉じ込められた化石が、米国西部の5千万年前の地層から発見された

■個体同士が接近しながらも衝突を避けつつ、集団運動を行っていたことを裏付ける型が見つかった

■群泳が、始新世のおよそ5千万年前にはすでに出現していた可能性を示唆

一瞬にして時が止まったような躍動感だ。

小さな魚が群れをつくって泳ぐ姿が閉じ込められた化石が、米国西部の5千万年前の地層から発見された。

これを証拠に、米アリゾナ州立大学で行動生態学を研究する水元惟暁氏らが、魚の「群泳」が開始した時期を絞り込んだ。群泳とは、魚などが同じ方向を向いて、個体同士で相互作用しながら集団で移動する行動様式のことだ。

レオ・レオニ作の童話『スイミー』を想像すると分かりやすいかもしれない。

スイミー―ちいさなかしこいさかなのはなし

水元氏らによる論文は、雑誌「Proceedings of the Royal Society B」に掲載されている。

Inferring collective behaviour from a fossilized fish shoal
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rspb.2019.0891

「めだかの学校」 5千万年前から存在

化石に閉じ込められていたのは、サケスズキ目と呼ばれるグループの淡水魚”Erismatopterus levatus”の稚魚259匹と見られている。体長1〜2センチの魚が群れになって泳ぐ様子が、ありありと伝わってくる。

この一団に悲劇が訪れたのは、およそ5千万年前のある日のことだった。彼らに死をもたらした要因ははっきり分かっていないが、おそらくは砂丘が突然崩壊したことで生き埋めになったものと考えられている。

大量の砂に一瞬にして閉じ込められた彼らは、最高のコンディションで化石化したのだ。もちろん、彼らにとっては最悪の事態だが…。

Credit: Mizumoto, Miyata, and Pratt /Proceedings of the Royal Society B

水元氏らが各個体の位置と進行方向を分析したところ、個体同士が接近しながらも衝突を避けつつ、集団運動を行っていたことを裏付ける型が見つかった。これは、今日多くの魚が持つ特性だ。

群泳は、英語でschoolingと呼ばれる。たしかに集団で一定の方向に向かって泳ぐ様子は、「めだかの学校」を彷彿とさせる。

群泳のメリットは、敵に捕食されるリスクを減らす・流体力学的効率を上げる・食糧獲得の成功率を上げる・つがいを見つけやすくする…など、多岐にわたる。

多くの生物学者によって数多く観察されてきた群泳だが、進化の歴史の中でいつ誕生したのかははっきりしていない。生物の集団による集団運動は、近くの個体同士の相互作用を統制する単純な規則が元になる可能性がある。このため、集団運動は比較的早い時期に進化したと推測されてきた。

この化石は、群泳が始新世のおよそ5千万年前にはすでに出現していた可能性を示唆している。

「まさかの今!?」 何かをしている真っ最中に化石に…

約5,600万年前から3,390万年前まで続いた始新世だが、その特徴の1つは、幅広い気候条件を経験したことである。過去6,600万年でもっとも暑い気候にさらされた時期もあるかと思えば、極寒の気候で終焉を迎えた。

哺乳類目のもっとも古い時代の化石の多くは、始新世の地層から出土している。そして忘れてはいけないのは、始新世の海が、多くの魚や水生動物が暮らす魚たちの楽園だったということだ。

魚の群泳がいつどのようにして始まったのかを正確に特定し、類似した行動様式が他の生物にも発展した経緯を限定するには、さらなる調査が必要だ。

同じように「集団」で行動する生物(エビ、哺乳動物、恐竜など)の化石を調べることは、太古に存在した生物の生態を理解し、集団運動の背景にある進化の過程を再構築するのに、大いに役立つはずだ、と水元氏は語っている。

「えっ、今!?」/ Credit: depositphotos

論文では、何かをしている最中に化石化した生物の例として、喧嘩中の恐竜行進中の三葉虫交尾中の昆虫が挙げられている。まさか、その瞬間に固まってしまい、ずっと後になってその姿を人の目にさらされるなんて、彼らには思いもよらなかっただろう。

Erismatopterus levatusの化石は、福井県立恐竜博物館で公開されている。

進化を迷走したカニ!?いろんな生物パーツを持つキメラの化石が発見される

reference: zmescience / written by まりえってぃ

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