銀河から投げ飛ばされ「ホームレス」となった連星を発見

space 2019/06/24
Credit:NASA/CXC/Nanjing University/X. Jin et al.

Point

■地球からおよそ6500万光年の距離にある「ろ座銀河団」に別の銀河から来た連星を発見

■連星の内、片方の恒星が超新星爆発を起こした衝撃でホームの銀河から外れたことが判明

■今回発見されたホームレス連星は30組だが、観測不可能域にもっと多く存在すると考えられている

「宇宙は存在しない」。物理学者が「反物質」を調べた結果、驚くべき事実がわかる

地球から約6500万光年の距離にある「ろ座銀河団」に、奇妙な連星群が発見された。

研究を行なったカナダ・マギル大学によると、その連星群は自ら起こした超新星爆発の衝撃でホームの銀河から弾き飛ばされたのだという。

今回判明したホームレス連星は全部で30組になるそうだ。

研究の詳細は、5月2日付けで「Astrophysical Journal」上に掲載されている。

Chandra Detection of Intracluster X-Ray Sources in Fornax
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/ab064f/meta

実家から勘当された連星

今回のホームレス連星の立役者は、NASAのチャンドラX線観測衛星だ。チャンドラXが1999年〜2015年に集めた恒星X線放出データを分析したところ、今回のホームレス連星の発見に至った。

場所は約6500万光年の距離にある「ろ座銀河団」で、これは「ろ座(Fornax :ラテン語で「炉」を意味する)」の領域内にある50以上の銀河グループから構成されている。

研究主任のXiangyu Jin氏によると「恒星が発する特定のX線放出パターンは、その星が辿ってきた道のりを知る大きな手がかりとなる」と話している。

チャンドラX線観測衛星/Credit:ja.wikipedia

Jin氏の説明によると、連星の辿ってきた道のりはこのようなものだ。

まずホームとなる銀河に連星が存在する。連星とは2つの星の距離が近いときに、お互いの重力によってペアを組むようになった星のことで、二重星とも呼ばれる。

一般的に光度の明るい方が「主星」、暗い方が「伴星」だ。2つの星はお互いの周りを公転しステディーな関係を保っている。

ところが片方の星の持つ物質が、重力の強いもう片方の星に吸い込まれていくと、片方の星はどんどん大きくなっていく。そしてついに臨界点を越えると、星の表面で大爆発が起こる。超新星爆発だ。

Credit:pixabay

この大爆発の衝撃により、なんとこの連星は軌道を外れて、ホームとなっていた銀河の外に投げ飛ばされたというのだ。これについてJin氏は「連れが騒がしいせいで一緒にパーティーを追い出された客人のようだ」と話している。

しかし事実はそんな甘いものではない。なぜなら連星たちはパーティー会場ではなく、実家から勘当されたようなものだからだ。

ホームレスはまだまだ存在するらしい

ホームレスとなった連星は星間宇宙を放浪する羽目になる。

ただ爆発を起こした星はその後、太陽ほどの質量が詰まった「中性子星」に変貌する。そしてそこに向かってまた相方の星からガスやチリが降り注ぎ、中性子星の周りに平らな降着円盤が形成されるという。

円盤は中性子星の強力な重力によって回転するスピードを速めていき、その際に生じる摩擦熱で温度が一気に1000万度まで上昇する。この温度に到達することでようやく、円盤からX線光が放出されるようになる。

要するに観測ではこのX線光をもとにホームレス連星の生い立ちを調査したということだ。

Credit:pixabay

ホームレス連星は全体で30組見つかっているが、研究チームによるとこの他にも無数のホームレス連星が存在するらしい。

というのも今回観測できたのは限られた狭い範囲だけであり、その他の領域にあるX線光源はあまりにも距離が遠すぎて、詳細な観測がまだ不可能とのこと。

チームは現在、ホームレスがどの銀河からやってきたのかを調査中であるが、中にはすでに実家となる銀河がなくなっている連星もあるそうだ。

宇宙の星たちも人と同じように、世知辛い星生を送っているらしい。

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reference: livesciencephys.org / written by くらのすけ

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