寿命を終えた2つの星がぶつかって奇跡的に生き返った恒星を発見

space 2019/06/07
Credit:depositphotos

Point

■地球からおよそ1万光年離れたカシオペア座の中に、死から復活した星を発見

■この星は寿命を終えた2つの「白色矮星」が奇跡的にぶつかって形成されたと考えられている

■星は太陽のおよそ4万倍の輝度を誇っており、さらに毎秒1万6千kmの恒星風を放っている

冥界から蘇りし恒星だ。

ドイツ・ボン大学の研究チームは、先日、地球からおよそ1万光年離れたカシオペア座の中に奇妙な星を発見したと発表した。

その恒星は「J005311」と命名され、太陽の約4万倍の輝度を誇り、毎秒1万6千kmで恒星風を放っていることが分かっている。

そして今回詳しい調査をしたところ、J005311はなんと寿命を終えた恒星同士がくっついて蘇ったものだと判明した。

研究主任のGötz Gräfener教授も「極めてめずらしい現象です」と驚きを隠せない様子だ。

研究の詳細は、5月20日付けで「Nature」上に掲載されている。

A massive white-dwarf merger product before final collapse
https://www.nature.com/articles/s41586-019-1216-1

「光らない!?」奇妙な星雲がヒントに

「J005311」が発見された場所は実に奇妙な「惑星状星雲」の中であったという。

なぜ奇妙なのかというと、この星雲が放つ光はほぼ赤外線のみであり、目に見える光はまったく発していなかったのだ。さらにスペクトル分析によれば、水素やヘリウムも含まれていないのだという。

星雲の性質を考えるとこれは実にヘンな現象である。どれほどヘンなのかを理解するには星の一生について簡単に触れておかなければならない。

赤外線による「星雲図」/Credit:sciencealert

まず、星の原型(原始星)が徐々に収縮して中心の温度が上がると、水素をヘリウムへと変換する核融合反応が起こり始める。こうして誕生するのが現役バリバリの「主系列星」である。主系列星の核融合は中心部の水素がなくなり、ヘリウムの核が出来上がるまで続く。

するとヘリウム核の表面で水素の核融合が生じて質量が増加する。増加のプロセスで星は膨張し赤色巨星となる。次に赤色巨星の表面からガスが宇宙空間に放出され始める。

このガスの集まりこそが惑星状星雲の正体なのだ。そして星雲はガスを放出して残った星が発する紫外線が当たることで光を放つようになる。つまり星雲は一般的に光を発するものであり、水素を含むはずなのだ。

Credit:pixabay

その後、残された星は収縮してエネルギーを失って寿命を終える。こうして出来るのが「白色矮星」だ。この状態になると星は水素やヘリウムを持っておらず、炭素や酸素の核となる。

今回発見されたJ005311は2つの白色矮星がぶつかって形成されたものだと判明していたようだ。

奇跡のドッキング

Gräfener教授によると、死んだ星同士の結合はまったくあり得ないことではないとのこと。

今回のケースでは、同じ軌道上を周っていた2つの白色矮星が数百万年をかけて徐々に近づき、最終的にぶつかった結果、1つに合体した。

白色矮星同士がぶつかった衝撃で作られた星雲なので、水素もヘリウムも含まれていなかったのだ。

Credit:pixabay

2つの天体が合体したことで質量も倍増し、強烈な光を生み出すのに十分な炭素および酸素量に達したようだ。

さらにJ005311は非常に強い磁場を有していることが予測されており、その影響で恒星風のスピードも加速しているという。

ただGräfener教授は「温度・風速などを考慮すると星はすでに寿命の終点に近いところにあり、すべてのエネルギーが枯渇すれば自身の重力で自然崩壊していくと考えられる」と指摘した。

 

死んだ星同士が奇跡のドッキングを果たし復活を遂げる確率は極めて低く、天の川銀河全体の中でも半ダースもないという。今回の発見自体が奇跡の出来事なのだ。

死なない星? 神秘的な「ゾンビ星」が宇宙に現る!

reference: sciencealert / written & text by くらのすけ

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