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天王星の環を初めて温度測定した結果、なんと-196℃の超低温と判明

2021.01.27 Wednesday

2019.06.25 Tuesday

Credit:depositphotos

Point
■天王星は土星同様に惑星の周囲にリングを持っているが、土星とは比べ物にならないくらい微妙な存在

■非常に暗く、細い天王星の環は地球からではほとんど見えず、あまり研究が進んでいない

■そんな天王星の環に対して初めて温度測定を行った結果、なんと-196℃という非常に低温であることが判明した

銀河から投げ飛ばされ「ホームレス」となった連星を発見

惑星を囲む環といえば土星が有名だが、天王星にも縦方向(太陽の公転面に対して)に傾いた惑星を囲む環が存在している。

この縦型のリングが付いたかっこいい天王星のイメージは、誰でも一度は見たことがあるだろう。しかし実際天王星の環は非常に微妙な存在で、あまりに暗く細いため、地球からはほとんど見ることが出来ない

天王星はもともと遠いこともあり、あまり研究は進んでいない星だ。惑星の輪についても、外宇宙へと旅立ったボイジャー2号が、近くを通り過ぎた際に撮影した映像があるくらいで、詳しいことはわかっていない。

しかし現在は、地球に設置された望遠鏡の精度もどんどん上がっているため、この天王星の環についても少しずつ新しい情報が追加されている。

今回報告された研究では、天王星の環について初めて温度測定が行われたという。それによると、天王星の輪は77ケルビン(-196℃)という非常に低温で、液体窒素の沸点程度の温度しか無いということが明らかになった。

この研究はにより米国カルフォルニア大学と英国レスター大学の研究者より発表され、天文学術誌『アストロフィジカルジャーナル』に掲載されている。

Thermal Emission from the Uranian Ring System
https://arxiv.org/abs/1905.12566

あまり注目されていない惑星 天王星

天王星は太陽系の中では、あまり調査が進んでいない惑星だ。

ミステリアスな魅力を持っている。と、言えば聞こえはいいが、非常に低温で距離も遠いこの惑星は、テラフォーミングの可能性を持つ近所の火星に比べると研究対象として魅力が薄いというのが謎の多い原因だろう。

天王星を調査した探査機は、1977年に打ち上げられたボイジャー2号のみであり、他はハッブル宇宙望遠鏡による観測情報しかない。

そのため某アニメのように、海王星と共に色々と謎の多い辺境惑星ペアなのだ。

天王星の地軸は、公転面に対してほぼ水平に傾いていて、取り囲む環が縦になっているのもそれが原因だ。また磁気の動きにも偏りがあるという。

また天王星のリングについても謎が多い。天王星のリングは非常に幅が狭く、そのせいで光学的な撮影ではとても暗くほとんど見ることができない。

土星のリングは幅が広く100キロメートルから、大きいものでは数万キロメートルに及ぶ。しかし、天王星ではもっとも幅の広いイプシロン環で、幅が20〜100キロメートル程度しか無いという。

今回は日本もプロジェクト参加している非常に高性能な南米チリのアルマ望遠鏡とVLT望遠鏡の2つを使って、リングの熱的な放射を捉え、温度測定することに成功した。

下の写真はアルマ望遠鏡の捉えた天王星の電波画像だ。ここではリングの熱放射を初めて観測している。

リングの熱放射を確認した望遠鏡アルマの画像 / Credit: UC Berkeley image by Edward Molter and Imke de Pater

硫化水素ガスは密度が上がると強い電波を発する。惑星に暗い帯が多いのは、硫化水素ガスを吸収する分子が存在しているためだ。黄色く輝いて見える部分は北極点にあたり、ここにはそうした分子がほとんど無いと推測される。

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