すべての成績が上がる「1つの教科」とは

education 2019/06/27
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Point

■音楽を継続的に学んだ生徒が、そうでない生徒と比べて数学や科学などの教科で好成績を収めていたことが分かった

■「ボーカル」よりも「楽器」を学んだ生徒のほうが成績がよく、楽器に必要とされるスキルが多方面に活かされている可能性がある

■この研究により、予算が削られがちである学校における「音楽」の地位が向上することが期待される

「感情移入しやすい人」は音楽を聞くと特殊な脳活動が起きることが判明

楽器が弾けるとモテるだけではないようだ。

音楽をまったく聴かない人に巡り合う機会はめったにない。それほどまでに私たちの生活に欠かせないものである音楽には、実は驚くべき力があるのかもしれない。

新たな研究により、音楽の授業を選択していた生徒の成績が、そうでない生徒を上回っていたことが明らかとなった。もちろんこれは、音楽の成績の話ではない。数学や科学など、一見まったく音楽と関係のない教科の成績が相対的に優れていたのだ。

研究は「Journal of Educational Psychology」に掲載されている。

A Population-Level Analysis of Associations Between School Music
Participation and Academic Achievement
https://www.apa.org/pubs/journals/releases/edu-edu0000376.pdf

計り知れない音楽のパワー

学校の経営者は音楽コースへの予算を削りがちだ。それは、音楽に没頭する生徒は他の教科をおろそかにしてしまうといった、一般的な考え方に基づいての判断であるといえよう。

この研究は、そうした常識を覆す結果を示すものだ。

幼い頃から継続的に音楽を習い続けてきた生徒たちは、社会経済的な背景や出自、あるいは性別といったファクターを考慮に入れても、音楽を学んでいない生徒と比べて他の教科で好成績を収めていたのだ。

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研究チームは、ブリティッシュコロンビア州で、2012-2015年の間に公立学校のGrade12(日本の高校3年生に当たる)を卒業した生徒全員のデータを調査した。

生徒の総数は112,000人以上にものぼり、彼らはみな、少なくとも1つの標準化された数学、科学、英語のテストを受験していた。また、研究者らは彼らの性別、出自などの人口統計上のデータも参考にしており、「音楽を選択した生徒」としては、少なくとも1回、音楽の定期的なカリキュラムを組んだ生徒を指すと定義した。

「ボーカル」よりも「楽器」

さらに研究者たちは、音楽の中でも「ボーカル」を学んだ生徒たちよりも、「楽器」を学んだ生徒のほうが学業成績が高いことも発見した。これは、楽器で必要とされるスキルが、学習の様々な側面に活かされる可能性を示唆する結果だ。

確かに楽器の演奏には多くのスキルが要求される。まず楽譜の読み方を覚え、譜面という視覚情報を、指の動きにそのまま反映させるのは簡単なことではない。

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それを可能にすべく練習を重ねていく中で、生徒たちは認知能力や実行機能を高め、学ぶことや自己効力感を充実させるためのモチベーションとしていることが考えられるのだ。

研究者らは今回の研究により、音楽などの教科を犠牲にしながら、基礎計算能力や読み書きに重点を置き続けてきた教育に対して一石を投じることを望んでいる。

音楽の力の偉大さを再確認するきっかけを与えてくれる今回の研究。日本でも音楽の授業はあくまでも副次的な科目として軽視されがちだが、大きなポテンシャルを秘めたこの科目が主要科目として「出世」する日も遠くないかもしれない。

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